ありえない設定 時代劇に見る江戸時代の剣術稽古
やや古い作品であるが、藤沢周平原作、山田洋次監督の『隠し剣 鬼の爪』を観た。
やはりここでも剣術の道場稽古を木刀を用いて無防具でしていた。
なんと杜撰な時代考証なのか。
武術を嗜む人間には不快でならない。
大抵の時代劇に同様の場面が見られる。
監督も役者も演じていて変だと思わないのだろうか。
内容に感動したので悔やまれてならない。
それでは当時の剣術の稽古は実際にはどうであったのか。
もっとも普遍的に行われていたのは防具を着けて袋竹刀で打ち合う稽古である。
袴の股立ちはとる。
防具のうち、胴は着けないことが多い。
現在に伝えられている流儀では念流の稽古をみれば、江戸時代の稽古法そのままであるからわかりやすい。
そして、時代劇では一刀同士ばかりの試合で、二刀の剣士が一人もいないのも不自然で、また、形稽古がほとんど見られないのも不思議でならない。