中澤家史料
先般、中澤流神伝護身術4代目師範を継承するに当たり、中澤家残されていた一切の史料を相伝した。
これらは技術とともに後世に伝えていく責務が伝承者にはある。
近年武術の伝統なき家系図を利用してその流儀の○代目を名乗るなど、あってはならない作為が横行している。
しかし、これは今に始まったことではない。
第二次世界大戦後に雨後の筍のごとく、古来からの伝統を標榜する「新流派」が全国で創作された。
大東流以外のすべての合気系武術はその例であるし、八光流からも武田流や日本少林寺拳法が創られた。
また、明治時代に東京にあった浅山一伝流柔術からは兼相流や天心古流、松道流が分派した。
戦前の伝書がない理由は一様に「火災」で燃えたなどというが、江戸時代から伝えられていれば、必ず複数の都道府県や師範家に同じ伝書が少なからず残っているはずである。
創作は創作として虚偽の歴史は作らず、正々堂々と創作を公表すべきである。
中澤流護身術は明治末期頃に中澤蘇伯が渋川流柔術から創作をした近代護身術である。
中澤は山梨県の出身であるため、その護身術に武田流兵法の精神的な教えを取り入れているが、武術的な技法は渋川流からの独創である。
中澤が学んだ甲州伝渋川流柔術の伝書は額装されて当協会に保存されている。