消えた居合流儀 古川流 その1
江戸時代には本当に星の数ほどもあった武術流儀。
その第一期消失期が明治維新の時代である。
たとえばこの時期、信州松代藩のように江戸時代には一大武術王国であった雄藩でありながら、明治以降全滅してしまった地域もあった。現在、松代藩伝を標榜するいくつかの流儀はいずれも復元か創作である。
さて、そのような状況の中、江戸時代にすでに何らかの理由によって流儀が絶えたものもある。
竜野藩伝古川流抜方。
この流儀では居合を抜方という。明治以降の伝承を聞かないのでやはり江戸時代のうちに消えてしまったのか。
内容を見ると、表五本(五方之剣)、裏五本(五方之剣)、秘伝十ヶ条、組討十ヶ条、極秘十ヶ条となっている。
非常に明解な目録である。
その表は、「袖摺之剣」「請突之剣」「抜上之剣」「払切之剣」「身添之剣」の五ヶ条。
消えてしまったものは二度と蘇らない。