伝書釈義 神道無念流目録 ③ 人心
目録で形数を示した後に「人心」の教義が書かれている。
人 心
人心者如鏡物来則応
物去依旧自在不曽迎
物之来亦不曽送物之
去只是定而応応而定
読み下し文
人心は鏡の如く 物来れば則応ず 物は去旧に依 自在曽て物之来る迎へず
亦曽て物之去るを送らず 只是定て応ず 応じて定る。
『神道無念流剣術免許弁解』の中にその解釈が出ている。
「(前略)剛とか柔とか一偏に執着すれば臨機応変のわざ出ず。一円の明鏡の体あればこそ、敵の曲直邪正を照し、千変万化のわざあればこそ、一円明鏡の用を見はすなり。事理の離るべきからざる誠に如此。(中略)水晶の玉の如く、始もなく終りもなく、まんまるに曇なきものにて、人来るとて別に光をますにもなく、物去るとて、光りを減ずることもなし。夫物来れば大小精粗不求して、照さざることなし。(以下略)
よく吟味されたい。