居合における鞘捌きのこと
林崎夢想流(新夢想林崎流・林崎新夢想流)の絵伝書を見ると、かつての居合の稽古がどのようなものだったか、大凡のことは把握できる。
現在、林崎夢想流は三系統が実伝として継承されている。
さらに若い人たちのグループが熱心に弘前藩伝の復元に努めている。
ちなみに弘前藩伝は実伝が東京の笹森家に伝えられているので、それは尊重しないといけない。
この林崎夢想流の系統(一宮流・関口流・田宮流・無楽流など)では本来三尺三寸の「無反り」の居合刀を使用する。
それは絵目録を見ても明らかである。
そして、このような絵目録はいろいろなことを現代に教えてくれる。
まず、抜き付けの際は、鞘が垂直に立つほど鐺を高く上げる。
そして、敵に斬りつけるとき、その鞘は背(後ろ腰)に廻す。
現存している系統でこの動作をしっかりと継承しているところは一つもない。
抜いた後、鐺が床を打つので、大きく鞘を前に引き出している。
しかし、古伝にはこのような鞘の捌きはなかったものと思われる。
これはあくまでも絵伝書を忠実に述べただけで、もとより確信はない。
古伝の居合を探究する一資料として提示するのみである。