伝授巻
現在では古流、古武道を称していながら伝授巻を差し出していない流儀が多いという。
もはやそれは古武道ではないと知るべきである。
伝授の証明に伝授巻がないなど、日本の伝統武士文化として失格である。
階級に段位制度を設けるのはかまわないが(当会も海外との相関性を持たせるため採用している)、
元来、武術は他者と資格を競合するものではなく、自己実現のための稽古事である。
段位なるものは己の相対的位置を知るためだけのものであり、流儀の相伝にはまったく関係しない。
海外でもこうした日本の故実を知る師範クラスの者は伝授巻の発行を望むが、普通の稽古人レベルでは関心もないようである。
しかし、それは日本の師範が彼らに本来の正しい古流伝授の在り方を示さなかったための弊害であり、彼らに何ら責任のあることではない。
むしろ日本人で古流を修行していながら伝授巻の発行を望まない者がいるのはどうしたことかと思う。
そんな者は古流の修行は止めた方が良い。
画像は来月修行にやって来るハンガリーのブダペスト支部長に差し出す甲陽水月流柔術の伝授巻。
(完)