関口流抜刀における抜き方
これから記述することは口伝の部分が多いので、簡略して書く。
関口流における抜刀の方法について。
これはあらゆる居合の流儀における最重要の部分である。
にもかかわらず、各派で抜き方が大きく異なっている。
では本来はどのように抜くのが正しいのか、少しだけ述べてみたい。
一、鞘払いの際、腰を十分に開くこと。
これについては九州系や岐阜系の一部では左足を引かずに抜いている。下の青木の写真を見れば明白であるが、左足は十分に引かなければいけない。
一、抜くとき柄は左胸に近づけ、刀は左耳に沿って真上に抜くこと。
原野系以外の熊本および大分系ではなされていない。岐阜系でも一部ではなされていない。
一、 「抜打先之先」 における抜いた後の所作
熊本の原野伝では片手切りで面、または小手を止める。現在、この片手切りを伝えている系統は皆無である。
一、小手を止めたときの姿勢
片手切りでは完全一重身、岐阜系の一部では半身、その他は完全に正面体になっている。これは止めた際に両手持ちになるための変質である。下の関口流図画では半身を保っている。
一、飛違
これは絶対に飛び上がってはいけない。頭の高さを変えずに飛び違える。そのための特殊な鍛錬法がある。熊本系と岐阜系の一部が飛び上がっている。
以上であるが、人間が生身で演じる武術。
変質は相伝の中において必ず生ずるものであって、各派を非難するものではない。
ただ、一相伝者として正しい古伝の技術を問うのは必要なことである。
※詳しい考証はすでに 『 水月 』 (153号) でなしている。
(完)