九鬼神流棒術免許巻
先日、九鬼神流棒術免許巻がオークションに出品されていた。
「忍者たち」 にも人気の流派なので破格の高値で落札されたようだ。
よほどのことがないかぎり、この伝書は二度と日の目を見ないだろうから、ここで少し述べてみたいと思う。
発行者は石谷竹松正次で、被授者は松原庄太郎、明治32年の差し出しである。
過去に同じ石谷の明治期の伝書はいくつか見ており、これが初めてではない。
しかし、石谷以前の伝書については未見であり、当然、九鬼神流の江戸時代の伝書は見たことがない。
筆者は九鬼神流棒術を高松系と木葉系の両系で学んでおり、棒・半棒ともに形はすべて打つことができる。
しかし、この流儀に名を連ねることをよしとしない。
その理由はだれにでもわかるだろう。
『武芸流派大事典』 では、石谷松太郎の諱は 「隆景」 としており、その先代である石谷武甥の諱を 「正次」 としている。
いずれにしても石谷松太郎は高松の師であり、松太郎は大国繁治英政および石谷武甥の弟子である。
流儀の江戸期の歴史が創作されたものであることは、『武芸流派大事典』 の記述から明らかである。
創作した人物も知っている。
(完)