姿勢と正中線のこと
武芸の形を演じるとき、もっとも注意しなければならないのは、言うまでもなく姿勢である。
正中線を立て、体が傾かず、両眼は平視して、体を揺らさず、機敏に動く。
形の上手下手は歩く姿勢からもわかる。
姿勢の悪い人、とくに猫背(かつては「せむし」と呼ばれた)の人は、まず、日常胸を張ることを意識して身体を矯正しないといけない。
最近は感動するような演武をほとんど見ることができなくなってしまったが、筆者が素晴らしい演武だと思うのはかつて鳥飼よし女史が演じた香取神道流の薙刀である。
上記の条件を見事に体現している。
理想の形を演じ切っている。
これこそが古流の妙技と言えるのではなかろうか。
よくよく吟味あるべし。
(完)