ペーパーナイフ
古伝は古伝として絶対に崩してはならず、付加伝は付加伝として相伝者が増補して教授すればよい。
たとえば、関口流抜刀でも先々代の青木、先代の亀谷と二代にわたって付加伝が増補されている。
さて、甲陽水月流手内剣も研究と実践が進み、相伝するに値する段階に来た。
先週末、東京の骨董市で七宝焼きのペーパーナイフを二本購入した。
これを手裏剣に加工して打剣の具合を検証するためである。
加工前。
加工後。
さて、試技の結果、これはまったく手裏剣に向いていないことが判明した。
これだけ短く薄く軽量になると、もろに空気抵抗を受けてしまい、先端から的に飛んでいくことが不可能なのである。
そしてまた、脆い。
一度打つ度にナイフが微妙に曲がるのである。
しかし、工夫や検証は武術家には重要な仕事の一つである。
試技をしなければ 「実際にどうなるのか」 ということは検証できない。
このペーパーナイフ、どうするか?
そして、日課である手内剣を打つ。
やはり爽快である。
(完)