今、学んでいる武術に専念せよ
海外の門人や一部の日本人によく見られるのは、同時にさまざまな団体や道場に所属すること。
これは決して勧められることではない。
興味が先行するのは武術が好きな者としてわからないこともないが、限度というものがある。
たとえば外国会員の場合、わが協会で武術を学ぶのであれば、「忍者」 の団体は辞すべきである。
正統古流を学ぶのに、現代忍術を併修するのは害でしかない。
古流を学んでいるにもかかわらず、忍者のままでいるというのは古流の本質をまったく理解していない証拠である。
また、他流の経験者は大いに歓迎であるが、別の稽古場で新たな流儀、武術を稽古するときには、それまでに修行した他流の技は封印しないといけない。
また、他流の知識を持って、別の流派の技の是非を論じるのもやってはならない。
現在、学んでいる流儀、稽古場を表にするべきであって、それまで学んだ流派は、裏に据え置くべきである。
今、学んでいる武術に専念せよ。
忍者はこんな服装はしないし、こんな柔術のようなこともしない。
地下足袋は、農林業や大工、左官など屋外で作業をする職人が履くもので、武術の稽古に使うものではない。
(完)