居合腰のこと
「居合腰」ほど統一した見解を持たない言葉はない。
ほぼすべての流儀で違う考えを持っている。
例えば、無双直伝英信流では、
立位の状態で両膝を曲げて腰を落とした状態のことを居合腰という。
両足は拳一個分離れた状態で、両膝は紙を軽く挟むようなイメージで閉じ、曲げて腰を落とす。
血振りしながら立ち上がる際などはこの居合腰の状態で立ち上がる。
これは血振り以外の動作でも言えることで、基本的に完全に膝を伸ばして立ち上がることはない。
納刀しながら膝をついてそこからまた立ち上がる場合は膝を伸ばしはするが、そのまますぐに踵を浮かしてから腰を沈めて居合腰になるのが基本。
次に、現代の制定居合では、
両脚を前後に開いて体を安定させる姿勢。
そして、香取神道流。
居合術で重要なのは、まず自由自在に動くことのできる姿勢をとることです。
香取神道流の居合腰は、右足を少し前に出して左膝をつきます。
そして、両足のつま先を立てて、左右の踵に七対三の割合で重心をとります。
また、背筋は真っ直ぐにします。この姿勢をとれば、前後左右自由に身を捌き、様々な状況に素早く対応できるようになります。(大竹利典師範)
その他、いろいろな流儀にいろいろな解釈があるが、私感で言えば香取神道流の伝えるところが本来の居合腰であると思う。
この体勢(構え)は柔術における〝真之位〟と同じであり、古伝を踏襲している古流では武種を問わずにこの体勢を多用する。
下の写真(『剣道日本』通巻第九十四号)は香取神道流最後の達人、大竹利典師範の見事な居合腰である。
居合腰の利点は大竹師範が述べているとおりである。
特に居合の最後に行う上段からの斬り下ろしはこの体勢にならなければ刀に力が乗らない。
つまり、腕だけで斬る死んだ刀法になってしまう。
(完)