金鷹拳演習
若い頃から一時も稽古を欠かしたことがない金鷹拳。
総教練の陳炎順師父が没してから十数年の間、台湾へは一度しか訪れていない。
それまでは毎年のように訪問し、20回以上も台湾の土を踏んだ。
優しい先生や同輩たちと共に練拳、練脚、それは本当に楽しい日々であった。
現在、台湾でも現役では私より上級者がだれもいなくなった。
先般は現地の同輩より連絡があり、とある套路を教えてくれという。
私はその套路を劉國良老師から学んだが、現在、劉老師は高齢で車椅子で生活されているから、もう台湾ではだれもできないという。
ということは世界で私一人しかその套路の継承者がいないということだ。
それでその套路を動画で撮影して送ってやった。
便利な時代である。
代わりに私が陳師父から学ぶことができなかったとある套路を動画で送ってくれた。
その套路は最近毎日稽古している。
金鷹拳の単演套路は一人で稽古できるから、コロナ禍においても稽古不足に陥ることはない。
中国武術においてこれ以上すばらしい体系と拳理を持つ門派を私は知らない。
日本では未だに全伝を継承した門下生は育っていない。
志ある若者の出現を待つしかない。
(完)