日台武術交流③
今回の台湾との交流で私は「彰化縣振興社金鷹拳協会栄誉顧問」として迎えられた。
四十数年に渡って修行してきた結果としての栄誉であり、誠に光栄である。
台湾の武術界も世代交代が進み、今回団長として来日された協会理事長の施火木氏は私と同世代である。
現在、彰化金鷹拳においては施氏がもっとも多くの拳套を伝えている。
今回の交流では私は施氏より金鷹拳の最高級套路である「八宝朝堂」を学び、私は施氏に「飛雀」を伝えた。
「八宝朝堂」は台湾では施氏以外に習得者がおらず、「飛雀」は台湾には一人も習得者がいない。
しかし、今回の交流で日台両国に現在伝えられているすべての金鷹拳套路が残ることになった。
本来、金鷹拳は武陣を出して団体で演練するのが習わしであるが、日本の武術環境と社会環境においては武陣を出すことは非常に難しい。
そのため、少なくとも個人伝承の武術として伝えていきたいと思う。
武陣を組むには舞獅と鼓楽が必要で、私はそのすべてを習得しているが、後継者はいない。
これだけは台湾で健全に残って欲しいと願っている。
(完)