鍔に親指を掛けること
居合において抜刀する際に必ず行う所作、それは「鯉口を切る」ということ。
そして、その際に行う所作が「鍔に親指を掛ける」という所作である。
これは刀をスムーズに抜くための予備動作であり、親指で鍔を押し出すのである。
しかし、八戸藩伝神道無念流立居合では、立居合であるが故に「鍔に親指と人差し指を掛ける」のである。
この方法は未だに他流では見たことがない。
鍔の縁の上下対極を挟むように押さえるのである。
そのため上下の対極に凹みがある武蔵鍔が神道無念流には大変都合がよい。
この二本の指による鍔の把持には口伝があり、ここでは記すことができないが、居合の高段者であれば、大凡の察しはつくものと思われる。
今回は情報提供だけに止めたい。
(完)