新陰(流)百首
新陰流には「柳生石舟斎百首」と「新陰流百首」がある。
私は新陰流が好みではないため、これまで関わったことはないが、その優れた伝書については知見を広めるためにいろいろ読んでいる。
今回紹介する「新陰百首」は剣術者の心得を和歌百首にまとめたもので、古武道を嗜む者の必読伝書である。
公刊本にも多く翻刻されているから、よく勉強されたい。
以前にも書いたが、日本のほとんどの武道家は自分が稽古している流儀に関して何の興味も関心も示さない。
たとえば、杖道をしている者たちは、流祖夢想権之助のことを何も知らない。
無双直伝英信流居合をしている人たちは長谷川英信(ひでのぶ)のことを何も知らない。
そして伝書となると、さらに興味を示さなくなる。
ただ、技だけを稽古して、あたかも流儀を極めたような勘違いをしている。
すくなくとも、弟子や後輩を指導する立場にある者は、流儀の正しい歴史と理論を説明できなくてはならない。
読書の秋が近づいてきた。
自分の流儀に関する有職故実をしっかり学んでほしい。
私は新陰百首を伝書で読み解き、答え合わせを公刊本でしてみたいと思う。
(完)