『剣法心意大事』
古流武術を学ぶ者、特に師範として門人に指導をしている者は、文武の「文」をもっと真摯に学ばなければいけない。
文の心得も知識もない者が海外で技(「武」)だけを教えているから、それ以外の「文」ついてはまったく無知であり、誤った情報からの孫引きによって、誤った認識が世界中に飛び交っている。
日本人の指導者が誤った指導をしたか、海外の者たちが勝手な解釈を発信しているのか知らないが、それを見た日本人が何の訂正も求めないから、彼らはそれでいいと勘違いしている。
稽古着を「ギ(Gi)」 と言ったり、道場名を「富士山道場」とか「白鶴道場」と付けたりしているような間抜けな者たちが多い。
わが水月塾でも誤った認識はその都度、訂正を求めているが、本当に厄介なほど誤った知識が蔓延している。
さて、古流には技術以外に歴代の先哲が秘伝・口伝・極意・理念・心得・指針などを詳細に記した文献を残してくれている。
それらの内容は一流儀に留まらず、あらゆる流儀・武術に共通する教えであることが多い。
これら先哲が残した文化遺産を我々はよく吟味して、流儀を高尚なものに昇華させていかなければならない。
この『剣法心意大事』は冒頭に「鈴木派」と書かれている。もしや神道無念流鈴木派ではなかろうかと思い、入手した。
書かれたのは元治元年(1864)で、筆者は渡辺浅之助となっている。
内容の紹介については日本武芸新聞『水月』で成す。
(完)