古典籍に武術の事理を学ぶ
先般、記述したように、現在では武術、剣術の事理を語れる武術家や剣士がまったくいなくなった。
そうした時代にもはや学ぶべきは先哲が口伝を記した古典籍しかない。
ここに二つの古典籍、『武芸惣論』と『武術問答』がある。
これらは流儀の枠を超えて、広く武術・剣術に共通する事理・口訣・哲理を詳細に、且つわかりやすく説いている。
現在、『武芸惣論』は日本武芸新聞『水月』に連載中であり、『武術問答』も追って連載したいと思っている。
さらには、それら武術の事理を説いた古典籍を一書にまとめて翻刻し、後世に伝え残したいと考えている。
昭和の時代に筑波大学の渡辺一郎氏が編纂した『武道の伝書』という名書があるが、それらを咀嚼吟味するような武人もいなくなって久しい。
さらに、かつては武道雑誌『月刊剣道日本』や『月刊武道』にはこうした文化的価値の高い一次資料の翻刻がなされ、高尚な研究が連載されていたが、今や完全に読み捨て雑誌と化している。
誠に嘆かわしい世の中である。
(完)