日置流弓術矢代之巻
最近は武種に拘らず、優れた伝書は極力収集に努めている。
伝書を見たときに、その豪華な絵目録を門人一人一人に手書きして出していたことを思うと、文化としての日本武術の素晴らしさを蔑ろにすることはできないと思うからである。
しかし、現在、弓術史など、研究している人は皆無であり、貴重な史料もどんどん失われている。
自分が稽古している流儀にさえ興味を示さないのだから、最早、日本人の知的レベルは子ども並みに撃沈してしまった。
この日置流の矢代之巻も図入りの優れた伝書である。
師範はこのような流儀の故実についても勉強会を設けて、みんなで学ぶべきであろう。
技だけできても、それは武道の世界では「かたわ」でしかない。
(完)