鞭寸法之巻
前回に続いて、今回も専門外の馬術の伝書を紹介する。
巻題は「鞭寸法之巻 一本」とあるが、流儀名が書かれていない。
武田流か、あるいは小笠原流ではなかろうか。
研究のために蔵書しているわけではない。
あまりにも図が美しく、美術的価値を感じたがために蒐集しているのである。
伝書としての価値もさることながら、いつも言うように、このような芸術作品とも言える伝書を個人宛に差し出す日本文化の崇高さは他国の追随を許さない。
それにしても、実際にその流儀を稽古している人たちが、自分の流儀に無関心だったり、研究や発表もしないのに伝書を死蔵している隠れマニアの気がしれない。
(完)