柳生心眼流の変容
過去に何度か述べてきたが、柳生心眼流兵術ほど各派による変容が激しい流儀はない。
さらに同じ師範であっても教えた時期によって大きな変容が認められることも少なくない。
私が学んだ時代と現在ではまったく趣が変わってしまった系統もある。
そこで先年、私はそれまで学んできた柳生心眼流各派の最大公約数的動作を集約して、柳生心眼流小佐野派を興した。
その元となっているのは、晩年までまったく形を変えなかった宮城県鹿島台の奥山清太郎師範の形であり、それに私が学生時代に学んだ佐藤金兵衛伝の形を部分的に取り入れて編成した。
写真は、奥山師範の稽古場での箭内一師範一門による稽古(右が奥山師範)。
したがって、当水月塾で現在指導している柳生心眼流はどこの柳生心眼流とも違っている。
奥山師範の伝は表・中極・落・切・取返・取放・居取・取手・小具足・潜手・小手返・免許・皆伝・一子相伝、と九十八手あり、各形には裏手や変化技がある。
真言秘密の諸伝は時代にそぐわないため、教伝していない。
(完)