江戸期伝書の存在意義
先般、我が伝承する仙台藩浅山一伝流柔術の伝書が競売に出た。
54,000円で落札されている。
この伝書の差出人は、幕末の達人相澤永長斎の最高弟佐藤治郎右衛門の子息、五郎右衛門で、慶応元年に門人山下鉄五郎に差し出したもの。
私は彼の父、治郎右衛門の直筆伝書を所蔵しているから別に何の問題もないのであるが、だれが何のために他流の伝書をこのような高額で購入しているのか、不思議でならない。
はっきり言うと、武術文化の破壊者である。
購入するのは別に悪いことではない。
悪いのは、私蔵、そして死蔵していること。
研究するなり、発表するなりして、
「世に公開しなさい!」
それでこそ、今に残る伝書の存在価値が生まれるのである。
(完)