『養生一言草』(四)
今回は居合である。
この図から学ぶことは多い。
まずは記されている解説から見ていく。
居合は敵と敵近附、互に太刀を抜合機発の処を云ふ。此術に熟すれば、其間一寸二寸といへとも大太刀を抜、或は四畳半のせまき座敷にて五尺余の太刀を抜とも、物に障ず其刀の出入和らかなると見物也。人の眼に見へさる程の業、戦場は勿論、行住座臥両刀取廻し、格別なるもの也。是も諸流多し。
五尺余りの太刀というのが、やはり居合では常用されていたことがわかる。
図を見ると、反りの深い太刀拵えの長尺刀を使っていることがわかる。
両足は爪先を外に向かせて腰を低く割り、刀を返して下から抜き上げる瞬間を描いている。
袴は股立ちを取り、襷を掛けている。
下の図は扇子切りである。
扇子は開いており、どのような設定で切っているのか不明である。
あるいは広げて立たせ、柄で押さえておいて抜き様に切っているのだろうか。
宙に投げて落ちるところを切っているか。
中々に趣のある図である。
(つづく)