あり得ない誤読
故あって『宮本武蔵 五輪書』(徳間書店/神子侃訳)を購入した。
初版は昭和三十八年で、昭和五十年の時点で二十九刷に至っている長寿本であった。
著者の神子侃氏は、本名村山孚。
歴史物の本を多数上梓している執筆家である。
さて、本書の表紙をめくり、口絵の写真を眺めていて、さすがに開いた口がふさがらなかった。
武蔵が書いた書の読みが「真指」となっている。
真指とはいったい何だろうか。
解読して変だとは思わなかったのだろうか。
出版社も原稿を見ているはずである。
この書は「直指人心」と書かれている。
仏語である(ここでは意味には触れない)。
そもそも「人心」の二文字はどこに消えてしまったのだろう。
こういう低劣な誤読があると、他の著書のレベルも推して知るべしである。
研究には細心の注意を以て取り組みたい。
(完)