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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

カテゴリ:武具の部屋 Arms( 92 )

茶刀

武家に伝承された完全相伝制の石州流茶道で刀を腰に差したときのお点前がある。
このときに腰に帯びるのが装飾脇差、すなわち茶刀である。
長さは凡そ一尺五寸~一尺八寸。
江戸時代、茶室に呼ばれた武家は茶方人に対し、木刀であることを告げ、持ち込みが許されたという。
咄嗟の護身用具としては最適な武具である。

今宵、紹介するのは我がコレクションから二点。

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一つは(写真上)手貫紐用の小穴を穿っただけの極めて質素な造り。
「無」の一字と花押が赤銅で埋め込まれている。
身分の高い武士が使用したものであろう。

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もう一つは柄と鞘の部分をはっきり区分したした造りで、栗形と下緒も付いている。
柄には猪牙の瓢箪、鞘には果物籠が埋められている。

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世界最高水準である江戸職人の腕の良さには驚くばかりである。







(完)
by japanbujutsu | 2018-06-23 17:02 | 武具の部屋 Arms
再び模造刀と居合刀について

模造刀と居合刀はまったく違う刀である。
無知無教養な刀剣商や武道具店は論外である。
少なくとも、実際に稽古をしている諸賢はこの二つを混同してはならない。

皆さんが現在、稽古に使用している刀は居合刀ではない。
下の画像の刀がそれ。

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これは居合刀ではない。
武士の差料 (公用刀、大小) を模した模造刀である。
江戸時代の武芸の稽古ではこんな刀は使わない。

江戸時代、居合の稽古に使用したのは下の画像にある刀(渋川流、講武実用流で用いる居合刀)。

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皆さん、正しい知識を持ちましょう。
誤解がひどすぎます。
残念ながら、現在、居合刀を販売している刀剣商や武道具店は一つもありません。






(完)
by japanbujutsu | 2018-06-01 17:23 | 武具の部屋 Arms
赤樫の稽古道具

武術の稽古道具を注文する場合、打ち合いを前提とする道具の用材は 「白樫」 と決まっている。
赤樫は軽く、さらに安価なので女子に好まれ、薙刀の用材としてよく使われるが、これが非常に脆い。
木の目の悪い箇所が刃先の部分にくると、すぐに折れてしまい、これは大変に危険でもある。

今回、国際水月塾武術協会の埼玉支部で、市販の赤樫製薙刀が稽古で折れたという報告があったが、これは起こるべくして起きた仕方のないことである。

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「安物買いの銭失い」 という昔からの教訓を大切にすべきであろう。






(完)
by japanbujutsu | 2018-05-14 17:10 | 武具の部屋 Arms
骨董武具コレクション再び

武人の嗜みの一つに骨董収集がある。
書画であれ、陶磁器であれ、絵画であれ、なんでも結構であるが、武芸を嗜む者としてはやはり武具、特に稽古道具のコレクションをしたいものだ。

骨董武具を手にすると、これはどういう流派がどのような使い方をしたのだろうかと、いろいろと考えてみたりする。
それもまた楽しみの一つ。

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その際、武具は骨董でなければ意味はない。

海外の物好きのように今モノをいろいろ買い込み、陳列して喜んでいる輩がいるが、それらは苦労もせず、ネット通販でいくらでも手に入るオモチャでしかない。

現在、水月塾でも門下生を見ると、多くの人が技(形)を修行するだけで、その周辺にある万のことに興味を示す人がほとんどいないのは残念である。

勉強、稽古することは無限である。







(完)
by japanbujutsu | 2018-04-09 17:19 | 武具の部屋 Arms
武具製作所

我が家には武具製作所がある。

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ここでいろいろな武具を製作したり、矯正したりすることができる。

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溶接・加工・研磨・成型、なんでもできる。

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(完)
by japanbujutsu | 2018-03-14 17:18 | 武具の部屋 Arms
骨董市にて武具・武器を探す

週末に関東各地の寺社境内や広場で開催されている骨董市。
なんといっても見知らぬ江戸時代の武具や武器に出合えるのが一番の楽しみ。
カネだってある程度は用意していかないと、欲しいものがあったときに見送ることほど寂しいことはない。

たとえば、とある骨董屋の棚にこんな木箱があったりする。
中を覗くとあるある・・・

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しかし、ここで問題なのは、新物(あらもの=現代物)に騙されないこと。
たとえば、この箱の中の品。
左上とその下の鏃は新物。
その下のクナイも怪しい。
その下のMS流手裏剣は錆びているが平成になってから作られたもの。
下の真ん中の二叉は武具かどうか判断に迷う。
その右の手裏剣は骨董。
そのまた右の木の柄が付いているのも武具かどうかわからない。
武具であれば欲しい一品ではあるが、買わぬが賢明。
あと右上の塊は全部新物である。
皆さん、騙されないように。
目の保養には楽しいものだ。





(完)
by japanbujutsu | 2018-02-24 17:22 | 武具の部屋 Arms
柄巻木刀

最近、武道具店で 「柄巻木刀」 とやらを売り出している。
別に商売の邪魔をするわけではないけれど、武術を嗜む一人として一言。

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古流の剣術を稽古する皆さん(もちろん現代剣道も同じであるが)、このような木刀で形の稽古をしたら絶対にダメ。
このような木刀は、古流の木刀稽古における意義をまったく理解していない人たちの安易な発想から生まれた産物でしかない。

木刀に柄巻を施すのであれば、最初から模擬刀を使えばよい。
古来、木刀の柄に何もまかないのは手の内の感覚を体感するため。
柄巻をしてしまったら木刀で打ち合う意味は完全に消失してしまう。

これ以上は、口伝を開陳してしまうことになるので書かないが、いずれ 『水月』 でも採り上げてみたいと思う。

居合刀販売店に 「居合刀」 が一本も売っていないことと同じくらい奇異である。

※今、皆さんが稽古に使っている刀は居合刀ではありません。念のため。





(完)
by japanbujutsu | 2018-02-10 23:49 | 武具の部屋 Arms
新抜流鎖鎌

数年前にほとんど欠点のない江戸期の稽古用鎖鎌を入手した。

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柄の先と刃部に黒と朱の漆がかけられ、紐と皮分銅もしっかり残っている(写真上)。
しかし、その鎖鎌の流儀がわからなかった。
ところが今回、それとほとんど同様の鎖鎌を入手した。
こちらは紐と分銅を失っているが、手貫紐が残っており、なんと柄に流儀名が刻字されている(写真下)。

新抜流

『武芸流派大事典』に
「鎌刃渡り五寸・柄一尺八寸・鎖三尺二寸、または四尺二寸を用う」
とある。

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こちらも前回の八重垣流鎖鎌と同様、鎖鎌の寸法が書いてあるだけで、他に情報はまっくない。
八重垣流と新抜流はおそらく同じ相伝者によって継承されてきたものと思われる。





(完)
by japanbujutsu | 2017-10-27 17:08 | 武具の部屋 Arms
八重垣流鎖鎌

八重垣流鎖鎌について 『武芸流派大事典』 には次のように出ている。

「柄長一尺二寸五分、鎌刃五寸、鎖十二尺、分銅五匁の鎖鎌を用う。」

流祖はだれなのか、どこの藩に伝承されたのかなど、その他の情報はまったく記されていない。
今回、入手した稽古用鎖鎌 (鎖分銅は欠損) を見ると、確かに刃は五寸であるが、柄は一尺二寸五分よりやや長い。

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鎖鎌の時代鑑定からすると、おそらく昭和の戦前くらいまでは稽古されていたのではないかと思われる。

なんといってもいいのは柄にしっかりと 「八重垣流」 と刻字されていること。

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ありがたい。

※分銅は 「ふんどう」 と読む。 「ぶんどう」 ではない。





(完)
by japanbujutsu | 2017-10-25 21:32 | 武具の部屋 Arms
六寸鉄

以前にも一度紹介したことのあるこの六寸鉄と称する柔術附属の道具。
六寸鉄という名前は名和弓雄氏の命名だろう。
このような特殊道具は各流儀でそれぞれ固有の名称を持つのが普通である。

名和氏とは生前、武術の勉強のためによく阿佐ヶ谷の自宅にお邪魔させていただいた。
その名和氏が絶賛したのがこの六寸鉄。
次回の著書で紹介したいので貸してほしいと依頼された直後に黄泉の客となられてしまった。

この六寸鉄は、おそらく使用した武士の注文で鍛冶職人が打ったものだろう。

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頭部には球形の真鍮製突起が付き、尾部には手貫紐の穴が穿ってあり、菊座が付けられている。
そして頭部の下には細い縄線が一本添えられている。

武士はこうした武具の細かいところにも気を使ったものである。
現代の古武道を嗜むセンスのない人たちとは大違い。






(完)
by japanbujutsu | 2017-09-02 17:22 | 武具の部屋 Arms