ブログトップ

国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

japanbujut.exblog.jp

本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

カテゴリ:秘伝書の部屋 Secret densho( 153 )

伝鬼坊が一伝斎の師?

某書店で恐ろしき伝書が売られている。

高価なので手も足も出ないが、内容が奇異極まりない。

何と、浅山一伝斎が天流開祖斎藤伝鬼坊の弟子になっている。

この伝書は天流剣術の目録に相違ないから一伝斎が出てくるわけがない。

b0287744_22183416.jpg


さらに一伝斎は〝浅山一伝入道〟と僧籍になっている。

これは居合の一伝一存のことなのだろうか。

あるいはこのような時代からすでに系図の偽造が行われていたのだろうか。

長い間、武術の研究をしていると、ときどきビックリポンな伝書に出合うことがある。






(完)
by japanbujutsu | 2019-03-20 07:09 | 秘伝書の部屋 Secret densho
現代巻物の誤字脱字

競売に出されている巻物を見ると、あまりにも酷いものが多い。

特に昭和~平成に書かれた現代人の筆記によるものに目立つ。

b0287744_20591486.jpg


これは伝書の書式に関する教養の無さからか、あるいは武術を知らない書家に代筆を依頼したか、いずれにしても誤字・脱字が多すぎる。

今、競売に出品されている平成に書かれた伝書など、誤字だらけである。

少なくとも師範が門人に伝書を差し出すのであれば、よく内容を吟味し、深く理解した上で間違いのないように書写すべきであろう。

中には授与された者も不勉強ゆえに、その間違いに気づかずにいる場合もあるから悲惨である。

競売などに出されてその誤った文面が世間に公開されることほど不名誉なことはない。

授与者や被授者が健在であれば、なおさらのことである。

崩し文字を誤読して筆記し、それを安易に門人に差し出すと、無教養を露呈する結果になるので、くれぐれも注意が必要である。

だからこそ師範にある者は、さまざまに有職故実を学ばなければいけない。






(完)
by japanbujutsu | 2019-03-04 07:00 | 秘伝書の部屋 Secret densho
関口流抜刀伝書

肥後伝関口流抜刀の伝書がヤフオクに出ており、7万4千円で落札された。

b0287744_2210996.jpg


八代目井澤勘兵衛が天保年間に差し出したものである。

どなたが落札されたのだろうか。

このまま私蔵ならぬ死蔵にならなければいいのだが・・・

伝書は研究して公開しなければただの紙である。






(完)
by japanbujutsu | 2019-03-02 07:02 | 秘伝書の部屋 Secret densho
血脉図のこと

武術伝授巻の最後に書かれる歴代相伝者の系図。

これを別に 「血脉図」 ともいう。

武術を学ぶ者のほとんどが武家の有職故実を知らないし、また学ぼうともしない。

だから古文も漢文も読めないし、草書で書かれた古文書はさらに読めない。

現代日本人の古典に関する非識字率は99%を超えているのではなかろうか。

さて、本題に戻って、武術の場合、師弟の関係は親子の関係よりも濃いという。

親は選べぬが、師は選べる。

武術伝授巻の系図が赤い線で繋げられている意味を師範でさえ知らぬ者がいる。

b0287744_2165789.jpg


これは親子血族の血と同じように、武術の世界では師からすべての技芸を授かった者(免許皆伝)は、血の繋がりと同じ意味を持ったのである。

歴代相伝者の系図を血脉図という所以である。

心して学んでほしい。






(完)
by japanbujutsu | 2019-02-28 07:54 | 秘伝書の部屋 Secret densho
口伝書

火術口伝書。

口伝書。

口伝。

b0287744_21131974.jpg


書いたらダメでしょ。






(完)
by japanbujutsu | 2018-11-11 17:10 | 秘伝書の部屋 Secret densho
佐分利流鍵鑓教義口伝

筆者は誠に残念ながら、これまで学んできた武術において、この伝書に書かれているような武具・道具類に関する口伝を師匠から受けたことが一度もない。

というよりも、流儀にそもそもそのような教義が存在していないのだろう。

そこへいくと、佐分利流などは歴代の相伝者が道具に関する深奥な教義を確立しており、それを伝える文化が完成している。

b0287744_21224692.jpg


なんと恵まれた素晴らしい流儀だろう。

このような武術が伝えられていることを相伝者は誇りに思うべきである。
古流なのだから。






(完)
by japanbujutsu | 2018-10-16 17:15 | 秘伝書の部屋 Secret densho
佐分利流槍術の鍵鑓

日本で唯一健全な姿で継承されている槍術は広島の佐分利流であろう。

もしも筆者が西日本に住んでいたら、真っ先に習いに行った流儀である。
それにしても、訳のわからぬ創作流儀や、歴史を捏造した流儀、また一度切れたはずの相伝がなぜか繋がれている流儀などが蔓延る関西の武術の中で、健全に伝承されているのは2~3の流儀のみだろう。

西日本で正統な古流を学ぶのであれば、関西は外した方がいいと思う。
理由はいろいろあるが、このような場で述べることではない。

まあとにかく、江戸時代から健全に継承されている佐分利流はやはり伝書も充実している。
使用する道具類には事細かに意味深長な口伝があり、今回紹介する伝書にも佐分利流で使用する鍵鑓の口伝が詳細に書かれている。

b0287744_17331953.jpg


五と十二という古流では極めて重要な数字で武具の特性を教えている。
そこには古流の奥深い哲理の世界を垣間見ることができる。

このような流儀の深遠な教えこそ、修行者は大事にしていかなければならない。
師匠がこうした口伝を伝えていなくても、正統な古流であれば伝書からいくらでも学ぶことはできる。
技や形だけ習って満足しているようでは古流修行者として大失格であろう。






(完)
by japanbujutsu | 2018-10-10 17:04 | 秘伝書の部屋 Secret densho
弓術 蟇目足踏

水月塾姫路支部の西躰氏はいつも本部の稽古に参加する際、入手した伝書を持参してくれる。

今回は小太刀と弓術蟇目の伝書を見せていただいた。

その弓術の伝書中に 「蟇目足踏」 のことが書かれており、足の踏み方が図解されている。

b0287744_21553856.jpg


それを見ると足の爪先は見事に180度開いており、一直線に踏んでいることがわかる。
それでこそ綺麗な一重身の構えが成立するのであり、足先と矢先がともに的に向く武術における基本中の基本が守られるわけである。

ところが、現代人が射る蟇目はどうだろう。
左足の爪先が全部内側を向いている。

b0287744_21574593.jpg


これでは某流の槍術と同じであり、力の発動と身体の構えが乖離してしまい、正しい事理一致は望めない。

正式に相伝を受けないと、すべてがこのような楽な動作や構えに陥ってしまう。

ざっと見たところ、正しい足踏みが行われている会派は皆無であった。

b0287744_2215855.jpg







(完)
by japanbujutsu | 2018-08-26 22:00 | 秘伝書の部屋 Secret densho
花押と印判

先日、 「なんでも鑑定団」 で古文書が鑑定されており、そのときに鑑定士が、
「花押と印判はどちらか一つあればいい」
と断定し、依頼人の花押と印判のある古文書は 「ニセモノ」 と鑑定された。

この鑑定に、武術の伝書を毎日眺めている筆者は非常に違和感を感じた。
武術の伝書では、むしろ両方がなければ 「ニセモノ」 とされることが多いからである。

そう言われて改めて通常の文書を見てみると、確かにどちらか一つしか見られない。
しかし、だからと言って、両方あるものを即座に 「ニセモノ」 と断定するのは早計ではないか。

どうも腑に落ちないので、もう少し研究してみたいと思う。


こちらは俗に 「三行半」 と呼ばれている離縁状である。

b0287744_2214729.jpg

確かに印判は押されていない。







(完)
by japanbujutsu | 2018-04-22 22:01 | 秘伝書の部屋 Secret densho
九鬼神流棒術免許巻

先日、九鬼神流棒術免許巻がオークションに出品されていた。

b0287744_21131634.jpg

「忍者たち」 にも人気の流派なので破格の高値で落札されたようだ。
よほどのことがないかぎり、この伝書は二度と日の目を見ないだろうから、ここで少し述べてみたいと思う。

発行者は石谷竹松正次で、被授者は松原庄太郎、明治32年の差し出しである。

b0287744_21134180.jpg

過去に同じ石谷の明治期の伝書はいくつか見ており、これが初めてではない。
しかし、石谷以前の伝書については未見であり、当然、九鬼神流の江戸時代の伝書は見たことがない。

筆者は九鬼神流棒術を高松系と木葉系の両系で学んでおり、棒・半棒ともに形はすべて打つことができる。
しかし、この流儀に名を連ねることをよしとしない。
その理由はだれにでもわかるだろう。

『武芸流派大事典』 では、石谷松太郎の諱は 「隆景」 としており、その先代である石谷武甥の諱を 「正次」 としている。
いずれにしても石谷松太郎は高松の師であり、松太郎は大国繁治英政および石谷武甥の弟子である。

流儀の江戸期の歴史が創作されたものであることは、『武芸流派大事典』 の記述から明らかである。
創作した人物も知っている。






(完)
by japanbujutsu | 2018-04-13 17:51 | 秘伝書の部屋 Secret densho