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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

カテゴリ:武術論考の部屋 Study( 329 )

武術家が為すべきこと(7)道具類の収集

日本武術の保存と研究のためにも流派に関係なく、さまざまな稽古道具を積極的に収集する。

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写真は小佐野コレクションの一部


武術家が収集・保存して初めて意味のあるものであり、真意のわからぬ好事家になどに持たしてはならない。


何度も言うが、形や技にしか興味がなく、ただそれだけしかやらないのは古流の修行者として大きな欠陥である。


そういう人たちには古流を語る資格はない。






(つづく)
by japanbujutsu | 2019-04-20 07:13 | 武術論考の部屋 Study
武術家が為すべきこと(6)調査記録

伝書を研究したり、先哲の頌徳碑や墓石を調査したり、旧伝承家を訪ねたりして得た知識は必ず記録として残し、雑誌や同人誌に投稿する。

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できれば書籍化が好ましい。

成果は世に問わなければ失われてしまう。

記録に残せば、後世に必ず誰かがそれを受け継いでくれるはずである。






(完)
by japanbujutsu | 2019-04-18 07:03 | 武術論考の部屋 Study
武術家が為すべきこと(5)伝承地の訪問

自らが稽古・継承している流儀が江戸時代に伝承していた地域を訪ね、流儀の現状を知るとともに、旧師範家を訪ね、遺品(伝書・道具・古写真)の有無を確認する。

古流の師範になっても、これを実行しない人たちがいる。

否、ほとんどの師範は実行していないだろう。

よほど自流に興味がないのか、あるいはやる気がないのか、そのいずれかであろう。

何度も言うが、時間とカネがないというのは理由にならない。

そもそも師範たる者が先祖を顕彰できなかったり、墓参りができないのであれば、古流など教えるべきではない。

流儀の来歴を捏造している者は、その場所に行っても何もないことがわかっているから、計画すら立てることができない。

写真は筆者が継承している穴澤流薙刀が江戸時代から昭和初期まで伝承されていた山形県新庄市を昨年夏に訪ねたときのもの (新庄藩主が眠る瑞雲院にて)。

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(つづく)
by japanbujutsu | 2019-04-12 22:18 | 武術論考の部屋 Study
武術家が為すべきこと(4) 先人の顕彰

古流武術が現在まで伝承されてきているのは、流祖および歴代伝承者の並ならぬ努力があってこそのこと。

そうした先哲の努力や功績をわれわれは事あるごとに頌えなければならない。

筆者はかつて、自分が継承している流儀の先々代、つまり師匠の師匠を頌えるために、顕彰碑の建立を師匠あるいは先々代の家族に相談したことがあった。

結果はやる気など皆無であり、実現した例は一度もない。

現代人の祖先を大事にしない風潮、命日であっても家族、門人ともに何もしない。
だから滅びるのであるが。

まず、われわれ現代の伝承者がしなければならないことは、顕彰碑や奉納額、墓石の所在調査である。

自流は言うに及ばず、その伝承地へ行ったならば、他流も精力的に調べたい。

そして、きれいにして、しっかりと保存の策を講じるべきであろう。

写真は宮城県角田市長泉寺門前に立つ柳剛流元祖岡田惣右衛門の頌徳碑背面の一部。

当時の相伝者筆頭であった泉冨次の発案、建議により、免許皆伝者たちの協力を得て建立された。

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その背面に 「元祖岡田惣右ヱ門先生之祭祀料長泉寺エ寄附 一金拾円也 寄附者 泉冨次」 とある。







(つづく)
by japanbujutsu | 2019-04-10 20:38 | 武術論考の部屋 Study
武術家が為すべきこと(3) 伝書類の収集と研究

まず第一に、武術の心得のない者に伝書類を持たしてはいけない。
研究の阻害にしかならない。

流儀を継承する意思があるのであれば、最低でも自らが学ぶ流儀の伝書類は研究に必携であるため、極力入手する。

流儀がかつて伝承していた土地の骨董屋にお願いして、見つけてもらうくらいの努力が必要である。

散逸した資料は二度と入手できない。

流儀の先哲が書き残した伝書は、流儀の継承者にとっては宝物である。

下の写真は筆者が入手した関口流の伝書類。

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一流儀の研究には、これだけの一次史料が必要である。







(つづく)
by japanbujutsu | 2019-04-08 07:24 | 武術論考の部屋 Study
武術家が為すべきこと(2) 正しい服装

古武道の稽古では、初心者であっても必ず袴を着けなければいけない。
入門と同時に正しい服装を心懸けたい。
最初のうちは運動ができる服装でも良い、などと言っている時点で師範も失格である。

稽古着と演武着の区別をしっかりする。
稽古着で演武をするなど言語道断。

特に演武をする場合の服装や所作は伝統に則って正しく行う。

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近年の演武では、襷や鉢巻、股立の処置など、正式な演武の着装を守っていない流儀があまりにも多い。
そして、もしそれらの所作が伝えられていないのだとしたら、それは古武道として大きな欠陥である。

最後に、くれぐれも袴帯を十文字結びにしないこと。







(つづく)
by japanbujutsu | 2019-04-06 22:34 | 武術論考の部屋 Study
武術家が為すべきこと(1) 稽古道具の製作

これからしばらくの間、武術家が為すべきことについて書いていこうと思う。
それは、このままでは日本伝統の古武道が見る見る崩れ去り、正しい姿の古武道がこの世から消え去ってしまうことが懸念されるからである。

もし、あなたが自らを 「武術家」 と思うならば、伝承者としての自覚を持って、これから述べていく事柄に取り組んでほしい。

そこにこそ、古武道の真の存在価値があるからである。

これから述べていくことを、筆者は皆様に強要するつもりは毛頭ない。
しかし、前述したように、これらを怠ってきた結果、多くの武術遺産が散逸し、そして消滅していったことは、紛れもない事実なのである。

武術においてもっとも重要なことは形 (業) の稽古であることはいうまでもない。
これは当然100人中、100人が実践していることである。
形の稽古なくして武術はあり得ない。
しかし、どこの流儀もしていることはこれだけであり、武術の膨大な文化遺産を蔑ろにしている。

また、心していただきたいのは、いつまでも習ってばかりいないで、何年か修行を積んだら自分が今度はだれかに指導しなければいけない。
習うことと、教えることは、自己を研鑽するためにともに重要である。

それではこれから形の稽古以外に武術家 (師範も一般門人も含めて) として何をしなければいけないのか、一つずつ考えてみたい。

稽古道具の製作

各流儀における稽古道具を伝来に基づいて製作し、使う。
市販の大量生産品などで稽古をするなど言語道断である。

これをしっかり伝承して来なかったために、流儀で使用する道具の形態や寸法が失われてしまった流儀は数知れず。
「正統」 を主張している人間が、武道具店で市販されている木刀を使っているのだから、まことに説得力がない。

稽古をある程度続けてきたら、道具類は少なくても 「2セット」 は用意すること。
よく見られるのは自分の分しか購入しない人。
彼は一生だれにも教える予定がないのだろう。
念のために言っておくが、木刀は二本で1セットである。
1本しか買っていない人、それではだれにも教えることはできません。

たとえば、剣術だったら、2セット、つまり4本は購入すべきなのである。
1セットは当然自分が一生使うもの。
もう1セットは門人が購入したいと言ったときに、すぐに譲ることができるようにするためである。

道具類は各自で自己調達するのが本義ではあるけれど、大抵は師範が懇意している武道具店があるから発注してもらうとよい。

昔日は師範ともなれば、道具類を自作する人も珍しくなく、たとえばわが兵法天下一二天一流の先々代であられる松永展幸先師は流儀の木刀を伝統の尺寸に則って自作している。

田宮流では現在誰一人として 「田宮足袋」 の存在を知らない。
真に惜しいことである。

写真は松永先師自作の二天一流木刀 (筆者所蔵)。

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(完)
by japanbujutsu | 2019-04-04 07:16 | 武術論考の部屋 Study
武術にかける熱意

創始者から現師範に至るまで、いかなる習い事を見ても、彼らが流儀の伝承に掛けた熱意とエネルギーは並大抵のものではない。

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将来、人に教える(伝える)という熱意・目標がある者は、そうでない者に比べて格段に大きい熱意とエネルギーを以て稽古をする。
自分が教えるからには、師匠から教えられたことは、一滴も漏らさず次代に伝えなければならないからである。

だから、古武道をただの娯楽と考え、みんなと楽しむことを目的として稽古をする者は、最初から流儀を継承することはできないし、継承する資格も価値もない。
言葉は悪いが山を賑わす枯木と同じである。
指導する意志のない者に免許皆伝を与えても意味はない。

筆者がこれまで師事してきた先代師範はいずれも青春時代にものすごい熱意とエネルギーを費やして流儀を継承してきた人たちである。
それは初めてお会いしたときに感じたオーラ、そして最初に稽古をつけてもらったときに感じた燃える魂のようなものによっても知ることができた。

村の男が一人残らず稽古をしたのは大正時代まで。
古武道は第二次世界大戦によって伝承基盤までもが破壊されてしまったのである。







(完)
by japanbujutsu | 2019-03-26 07:58 | 武術論考の部屋 Study
東北諸藩の伝書翻刻本

このシリーズの本が精力的に出版されている。
武術研究書がほとんど出版されなくなった今、珍しい存在である。

武術史を研究している関係上、購入しているが、残念なことにそのほとんどは公共機関に蔵書されている伝書の活字化で、目新しい流儀もなく、また伝書の解説もなされていない。

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どうも記述内容からみると、編者は武術についてまったくの素人であることがわかる。

そういうわけで、購入以来一度もページを開けたことがない。





(完)
by japanbujutsu | 2019-03-18 07:43 | 武術論考の部屋 Study
居合の自稽古

火・木・土の日没後一時間は毎週居合の稽古(日没前三十分は庭で手内剣を打つ)。

これは自宅の稽古場でできる自稽古が居合しかないためである。
(ちなみに柳生心眼流と金鷹拳は平日、職場の無人部屋で毎日思う存分稽古ができる)

居合の稽古は足腰の鍛練にも最適であり(現代居合道は足腰の鍛練にもならない)、十畳の稽古場は周囲に武具類を飾っても居合であれば問題なく稽古ができる。

稽古はおよそ一時間で終了するが、力信流に始まり、荒木流、柳剛流、関口流と各形を二巡打てば、ちょうど一時間となる。

これで身体は常に鈍ることはない。

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力信流

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荒木流

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柳剛流








(完)
by japanbujutsu | 2019-03-08 07:03 | 武術論考の部屋 Study