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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

カテゴリ:武術論考の部屋 Study( 280 )

武芸流祖総覧

巨大な掛け軸に綺麗に描かれた武芸流祖の書上。

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作者は高崎藩剣術槍術指南役の関根栄三郎春継。

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50石中小姓竹内瀬左衛門の次男に生れ、供小姓関根氏の養子となるが16歳で出陣。
第二番手徒士として槍を振るって奮戦。

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退却の陣太鼓が鳴らされたが戦闘中のため判らず、本陣裏庭で敵数人と渡り合い、堀に足を取られ倒れたところ太刀を面部に受けほぼ即死。

書上の署名には 「関根栄三郎春継孫剣山」 とあるが、判には関根春継とある。
ペン書き調になっているが、墨液を使用しているものと思われる。

この書上にはやはりいろいろと問題がある。
筆者が関連する流儀だけを見る。

まず、浅山一伝斎の諱が照久という、かつて見たことのないものとなっている。

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次に宮本武蔵は諱が正名になっており、さらに別の諱源心などという見たことのない文字を使っており、流派名は 「神面二刀流」 となっている。
恐ろしい誤字である。
穴澤流の穴澤主殿助はいいだろう。

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さらに柳剛流の岡田惣右衛門が 「總右衛門」 となっている。

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今回はここまでにしておく。






(完)
by japanbujutsu | 2018-07-17 22:45 | 武術論考の部屋 Study
武術を極める

武術を極めることができる人は、人生のどんなことよりも武術が好きな人。
江戸期の武士をみても、武術を極めた達人は寝ても起きても武術を考え稽古を惜しまない。
武術を人生の第一に置けない (第一優先にできない) 人は永遠に武術を極めることはできない。
これは昔も今も同じ。
何か理由を付けていとも簡単に稽古や演武会を休む。
仕事が忙しい・・・
家の用事で・・・
カネがない・・・
この時点ですでにこの人には武術を極める環境がないのである。
武術を 「やる」 のと 「極める」 のとでは武術に対する意識に雲泥の差がある。
あらゆる芸術の行き着く先は 「極み」 の境地。
死ぬまで一生が修行である。



乙藤市蔵氏やこの清水隆次氏の杖術が、今の杖道とはまったくの別物であることがわかる人が何人いるだろうか。






(完)
by japanbujutsu | 2018-07-02 20:03 | 武術論考の部屋 Study
袴の結び(再)

中傷誹謗はいけないが、明らかに誤っているものを黙って見過ごすのもまた罪であると思う。
ことあるごとに啓蒙していかなければ、この世の誤謬はいつになっても正されない。

たとえば袴の結び。
合気道に見られるこの甚だしく無様な団子結び。

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これは結びそのものが誤っているのではなく、その下に締めている帯がダメなのである。
袴を着けるときに、その下に柔道帯をするなど言語道断。
日本人の美意識はいったいどうなっているのだろう。

次に居合道における袴の結び。
これも以前に述べたことだが、この十文字結び。

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これは冠婚葬祭用のものであって、武道の稽古・演武にこのような結び方は古来から存在しない。

文化の喪失、変質はあっという間におきてしまう。
恐ろしい世の中だ。
無知無教養無頓着無様無関心無神経・・・






(完)
by japanbujutsu | 2018-06-25 17:16 | 武術論考の部屋 Study
虚言と無知

師範と称する人が自分の流儀の歴史を正当化するために、その弟子に懇々とウソ八百を並べている。
傍らでそれを聞いていて 「虚言(師範)と無知(弟子)」 の共存の浅ましさに思わず耳を塞ぎたくなる。

この情報が氾濫している世の中にあって、平気でウソをついて流儀を冒涜している 「ろくでなし」 と、それを聞いてなるほどと感心している 「ノータリン」。

個人も組織もひどいものだ。
組織は何が正しく、なにが虚偽なのか、それを見抜く能力さえもない。
創作流儀が5つも入会している全日本古武道協会。
空手を古武道として入会させている時点でアウトである。
まともな審議員が一人もいないと見える。

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俗から身を引いた武蔵先生の境地がよくわかる。






(完)
by japanbujutsu | 2018-06-16 12:58 | 武術論考の部屋 Study
九字の扱い

最近、若い古流の修行者たちが盛んにワークショップやら講習会やらを開催している。
それはいいとして、さてその内容である。
最近、ある集まりで、なんと 「九字切り」 をしているという記事を見た。
真言秘密の恐ろしさを知らないと見える。

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「九字十字之大事」 は各流儀とも秘伝でこれを伝えた極めて危険な修法なのである。

絶対に九字切りなど安易な考えでやるべきではないと警告する。

幸い、だれも口伝を得ていないと思われ、九字の犠牲者はいなかったようだが、もし、正式な方法で九字を切ったなら、受けた者は七転八倒して気絶する。
しかも恐ろしいことに解除の方法を知らないとかかったまま意識を取り戻すことができなくなる。

たとえ真似でもこのような危険なことは絶対にやってはならない。

筆者が相伝している柳生心眼流兵術と浅山一伝流柔術には九字の伝があるが、いずれも筆者の代で教伝は中止している。
正式に古流の相伝を受けた者なら九字の危険を知っているはずであり、現代社会においては正に前近代的なそのような護身法は絶対にしないはずである。

もし無知な者が九字の真似事をしていたら即刻止めるように厳重注意をすること。





(完)
by japanbujutsu | 2018-06-13 17:34 | 武術論考の部屋 Study
袴と股引

これは合気道の稽古。

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どうして同じ稽古場に袴をはいている人とはいていない人が混ざっているのだろう。
有段者以外は袴を着けさせないのだとか。
訳がわからない。
武士と町人の稽古なのだろうか。

袴をはいていても足の動きはわかる。
指導上の都合などと 「都合のいいこと」 を言っているようだが、単に差別化して有段者が偉いことを誇示しているだけにしか見えない。
剣道も弓道も初心者から袴を着ける。
聞くところによれば薙刀の稽古でも足袋をはいて稽古できるのは高段者だけだとか。

どうして不合理なことに稽古をしている門人たちは異議を唱えないのだろうか?
それって奴隷制度と同じなのでは?
かつてドイツで演武会をしたとき、香取神道流の人たちが師範以外全員袴なしで居合を演武していた。
その滑稽さに仰天した。






(完)
by japanbujutsu | 2018-05-18 17:43 | 武術論考の部屋 Study
鉢巻と襷

古流の稽古を着物で行っていた時代、襷は必需品であった。
特に武術用の「稽古着」がなかった時代、稽古も平服で行うので、邪魔になる袖は襷で取る必要があった。
写真は大正時代に隆盛し、現在筆者が継承している中澤流護身術の稽古着である。

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筆者が伝える仙台藩伝の浅山一伝流柔術では演武に際して鉢巻を締め、襷を掛け、袴の股立を取る。
同じ仙台藩角田伝柳剛流では剣術と突杖では袴の股立を取り、居合では襷を掛けることになっている。

ところが、最近の演武ではこれらの伝統的スタイルが失われ、省略してしまうのは何とも遺憾である。

柔術でも演武であれば、稽古と同じ柔道着では行わず、着物で演武したいものである。
稽古と演武は差別化しなければいけない。





(完)
by japanbujutsu | 2018-05-08 18:31 | 武術論考の部屋 Study
足袋のこと

筆者の主催するISBAでは武術の稽古時、足袋をはくことをすすめている。
色足袋でもいいが、できれば白足袋の方がいい。
稽古場は神聖な場所であり、身なりは清潔が第一である。
しかし、スポーツ化した武道の 「練習」 ( 「稽古」 ではない) が普遍化してしまい、それらの学校武道、少年武道、競技武道では弓道を除いて足袋を着用しない。

武家の生活において足袋は不可欠な必需品である。
特に、城内や武家屋敷では足袋は畳を汚さないために絶対的に必要であり、しかも汚れていないことを条件とするため決まって白足袋を着用する。

武家の稽古事に足袋は必需品である。
江戸時代に影山流居合を相伝している天野菊之助古弘は必ず稽古時には白足袋を着けた。

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無知無教養な輩は 「白足袋は死に装束だから男は着用しない」 などと己の無知を開陳しているが、まったく有識故実を学んだことのない者の取るに足らない見解である。

現在の柔道で使っているビニール畳は裸足でもいいが、正式な畳表を使った稽古場では足袋は必需品である。
足袋の着用には、重要な足遣いを体得するための数々の口伝がある。





(完)
by japanbujutsu | 2018-05-03 00:50 | 武術論考の部屋 Study
再び、ヨーロッパの道場名

雄鶏道場
蜂鳥道場
山武士道場
葉隠道場
コブラ道場

これ全部、武道の道場名。
この種の誤った命名はヨーロッパの大陸に多く、アメリカやイギリスは比較的少ない。
筆者が思うに、恐らくこれらの道場の内容は・・・

雄鶏道場・・・雌雄別々に飼育する養鶏場
蜂鳥道場・・・ハチドリを飼育する花鳥園
山武士道場・・・山賊に成り下がった武士の小屋
葉隠道場・・・切腹を指南する刑場
コブラ道場・・・コブラを飼育するインド系ペットショップ

あまりにもひどすぎると思いませんか。
こんな道場名を日本の指導者はどうして看過するのだろうか。
技だけではあり得ない文化としての日本の武道を教えることが、指導者としての役割である。

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すごい、ビールの道場である。
第一、富士山から朝日は出ませんよ。




(完)
by japanbujutsu | 2018-04-24 17:23 | 武術論考の部屋 Study
富士吉田市内の某寺に所用があって出かけた。

そこには幕末戊辰戦において朝廷方について働きをなした報国蒼龍隊士、小沢彦遅の墓がある。

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蒼龍隊は富士浅間師職の御師が結成した勤皇隊である。

小沢家は代々御師職にあり、幕末の彦遅は志摩守の国名を持つ神官であり、苗字帯刀が許されていた。

この彦遅、小野派一刀流剣術と宝蔵院流鎗術を極め、小沢家には巻物や木刀、稽古道具などが残る。
(詳細は拙著『富士北麓幕末偉人伝』を参照ください)

彦遅の墓参りをしていると、どこからともなく一匹の猫が現れ、挨拶をして帰って行った。

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彦遅が挨拶にきてくれたのだと思った。






(完)
by japanbujutsu | 2018-04-11 17:36 | 武術論考の部屋 Study

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