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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

カテゴリ:武術論考の部屋 Study( 264 )

『皇国武術英名録』の武術⑥ 直心影流剣術

掲載されたのは山田次郎吉の稽古場。

当時、山田は上総国望陀郡下郡村に住んでいたようである。

そして、師の榊原鍵吉は東京下谷車坂にいた。

明治維新後の取材であるが、山田の相手をしている者はまだ髷を結っている。

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服装も厳めしく、着物は三重で紋付きに裃を着けている。

紹介したのは正眼に合わせた場面であるが、やはり後足(左足)の爪先は後に開いていて、歩幅もやや広い。

史料には、フェンシングの稽古の様子や酒宴の様子まで描かれていて興味深い。
by japanbujutsu | 2013-12-10 17:29 | 武術論考の部屋 Study
『皇国武術英名録』の武術⑤ 神道夢想流鎖鎌

前回に続き、起倒流柔術を伝えた深井家家伝の武術から。

この深井の系統では鎖鎌を併伝しているが、流儀名を神道夢想流といった。

文化・文政年間に濃州の三宅源十郎重利が、この流儀で有名だった。

筆者の地元にも三宅から神道夢想流鎖鎌と楊心流当身術の免許を受けた人物がいた。

この流儀の鎖鎌と双鎌の図が同書に掲載されている。

鎖鎌の寸法は刃渡六寸の両刃で柄が一尺二寸、鎖数は六十二で長さが三尺二寸、分銅は球形で重さが五十目と定められている。

双鎌は長さが五尺五寸、または六尺、刃渡りは一方が四寸、もう一方が三寸となっている。

鎖鎌の形は「中段目附」「搦捕」「小手留」「脇腹打」「入身」「打揚」「上段打砕」「太刀流」「押搦捕」の九本。

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紹介した図の形は「打揚表形」
by japanbujutsu | 2013-12-08 17:53 | 武術論考の部屋 Study
『皇国武術英名録』の武術④ 起倒流柔術

今回紹介する起倒流の祖は武蔵国北足立郡鴻巣宿の深井勘右衛門無敵斎景周。

取材時の師範は、五代の信歖。

この系統は鎖鎌を伝えているのが特徴。

紹介する形は「虚倒表形」

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絵図を見ると、現在残っている講道館古式の形とは大分イメージが異なるようだ。

後方受身は両腕を広げて回転する古流独特のやり方であることがわかる。
by japanbujutsu | 2013-12-06 17:37 | 武術論考の部屋 Study
『皇国武術英名録』の武術③ 真之真石川流剣術 その2

真之真石川流には、刀を鞘に納めたまま、敵と対する形がある。

「裏形乱剣」。

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1 敵が正面を斬ってくるのを、我は左足を引いて刀を鞘に納めたまま帯から抜いて、敵の刀の峯を上から押さえる。

2 敵がこれを外して八相になるとき、我は左手を鞘に当てて中取となる。

3 敵が再び正面を斬るのを我は左前に抜けて鞘尻(鐺)で敵の喉を突く。

ざっとこんな想定の形である。

紹介した絵図は最後に突きを入れた場面。

演武者は野枝松蔵と横田喜市。

残ってほしかった流儀である。
by japanbujutsu | 2013-12-04 17:28 | 武術論考の部屋 Study
『皇国武術英名録』の武術③ 真之真石川流剣術

幕末の武州に流行した剣術に真之真石川流がある。

『皇国武術英名録』には元祖を石川蔵人政春、流祖を黒沢政衛孝清としているが、政衛は黒沢家剣術師範の三代目であり、石川蔵人からは七代目になるため、彼を流祖と記した意図がわからない。

『皇国武術英名録』には元祖石川清春と流祖黒沢政衛、政衛の長男金作孝正、政衛の母フミ、フミの孫喜雄の肖像画が描かれている。

元祖石川は柳生但馬守宗矩の門人であるから、この流儀は新陰流から出ているのであるが、絵図を見てみると、鍔付きの木刀を使用している。新陰流の木刀には鍔を付けないのが掟であるから、変革されていることがわかる。

この絵図には次のような流儀の礼式が描かれている。

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普通、伝書には礼式を書くことは稀なので、流儀を復元する際に一番難題なのが礼式の復元である。

真之真石川流の礼式は、左膝を引いて折り敷き、右膝を立てたまま右前半身になって礼をなす。

演武者は黒沢金作と木村金吾。

着物は角袖で、襷を掛けている。
by japanbujutsu | 2013-12-02 17:38 | 武術論考の部屋 Study
『皇国武術英名録』の武術 ②神道無念流剣術

今回紹介するのは神道無念流剣術。

筆者としては立居合でないのが悔やまれる。

取材時の師範は四世戸賀崎熊太郎。

武蔵国南埼玉郡上清久村の住。

形は「五加五行神本」より二本目。

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演武者は白石昌尹と小川栄喜。

演武服は着物に袴、襷は掛けていない。

正面打ちを前霞で捌いている場面。
by japanbujutsu | 2013-11-30 17:38 | 武術論考の部屋 Study
『皇国武術英名録』の武術 ①気楽流柔術

『皇国武術英名録』は無刀双流剣術師範新井朝定が幕末・明治期における関東地方の武術流派を実際に現地を訪れて記録した非常に貴重な古書である。

この記録を頼りに田舎へ行くと、今でも伝書や古い武具を見ることができる。

さて、その紹介の第一弾は気楽流柔術である。

取材を受けたのは上野国緑埜郡下大塚村の飯塚緒早司。

断髪しており、髭を蓄えている。

掲載されている柔術形は鉄扇を使った「抜附裏」。

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敵が正面を斬り下ろすのを左前に抜けて、左手で手首を押さえ、鉄扇で打ち込もうとする場面である。

演武者は飯塚の高弟浅見源太郎と辰己半平。

紋付き袴に襷を掛けている。

打太刀浅見の左足の爪先は大きく後ろに開いており、一文字腰になっている。

こうした絵を見ていると真の古武道の姿を知ることができ、大いに勉強になる。
by japanbujutsu | 2013-11-28 17:53 | 武術論考の部屋 Study
現存する小太刀の流儀

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小太刀を伝えている流儀は少ない。昭和末期にはもう少しあったのだが、現存が確認できない流儀も多い。

現存流儀は以下のとおり。

小野派一刀流
北辰一刀流
溝口派一刀流
立身流
天道流
駒川改心流
直心影流
香取神道流
鹿島新当流
長尾流
水鴎流
本體楊心流
貫心流
卜伝流

他流儀については確認でき次第、掲載していく。
by japanbujutsu | 2013-11-26 19:15 | 武術論考の部屋 Study
現存する剣術の流儀

剣術は日本武術の核であり、また世界に誇る日本刀を使った格式高い武術でもある。

江戸時代、その流儀の数は星の数に匹敵するほど存在した。

しかし、明治維新でその9割以上が失われ、第二次世界大戦でそれがさらに半減した。

現在残っている流儀は大変に貴重であり、日本が世界に誇る民族文化遺産である。

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しかし、日本人のほとんどは、その優れた文化遺産のことをまったく知らない。

それは何回も言うとおり、日本の行政と教育に責任がある。

【現存流儀】

1 小野派一刀流  東京
2 新陰流  東京・埼玉・愛知・新潟他
3 鞍馬流  東京
4 溝口派一刀流  福島
5 甲源一刀流  埼玉・兵庫
6 念流  群馬
7 荒木流  群馬
8 香取神道流  千葉・神奈川
9 鹿島新当流  茨城
10 立身流  千葉
11 駒川改心流 富山・石川・埼玉
12 関口流  和歌山
13 雖井蛙流  鳥取
14 タイ捨流  熊本
15 鞍馬楊心流  鹿児島
16 二天一流  全国
17 心形刀流  三重・東京
18 雲弘流  熊本 
19 力信流  静岡・山梨・三重・岡山
20 天道流  京都・福岡・山梨・東京他
21 卜伝流  青森
22 竹内流  岡山
23 柳生心眼流  宮城・栃木
24 神道無念流  東京・山口他
25 北辰一刀流  茨城・東京・長野他
26 知心正流  東京
27 無刀流  石川
28 示現流  鹿児島・茨城
29 野太刀自顕流  鹿児島
30 神道流(神道夢想流杖に併伝)  全国
31 天然理心流  東京
32 深甚流  石川
33 直心影流  東京他
34 寺見流  熊本
by japanbujutsu | 2013-10-24 21:36 | 武術論考の部屋 Study
現存する十手術・短棒術の流儀

現存する十手術・短棒術の流儀はいたって少ない。

それだけに現存流儀の存在は貴重である。

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昭和以降の創作・復元流儀は対象外。

現存する十手術

1 一角流  全国
2 駒川改心流  富山・石川・埼玉
3 広島伝渋川流  大阪  
4 渋川一流  山梨・広島
5 甲州陣屋捕手術  山梨

現存する短棒術

1 浅山一伝流大倉派  全国
2 渋川一流  山梨・広島
3 柳生心眼流  宮城

随時、加筆していく予定。
by japanbujutsu | 2013-10-23 23:30 | 武術論考の部屋 Study

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