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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

カテゴリ:技法研究の部屋 Skill ( 149 )

墳原卜伝流当身拳法(2)

今回は、敵の右雁下を当てる「野中大手」の一手を紹介する。

これは敵が右拳を振り上げた瞬間に飛び込み、その肘を右手で止め、すかさず左拳で右雁下を当てるという手である。

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当てに用いる拳は返さず、手の甲を下にしたまま、捻らずに突く。
これは柔術における当身の鉄則である。

右手で受けて左拳で突くのは、敵の死角に入るための重要な捌きである。

一つの絵から学ぶことはいろいろある。





(完)
by japanbujutsu | 2018-11-09 17:25 | 技法研究の部屋 Skill
墳原卜伝流当身拳法(1)

水月塾埼玉支部長は当身が大好きであり、柳生心眼流や柴真揚流を大変好んで稽古している。
また、氏は独自に柳剛流の殺活術の研究も精力的に進めている。

筆者の公刊本のデビュー作 『 日本柔術当身拳法 』 は愛隆堂の武道書の中でダントツ一位の売り上げを記録しており、恐らくこの半世紀に出版された武道書の中でもベストセラーではないかと思われる。
(ちなみに他の同種の本の10~15倍の売り上げを記録している)

今回は、松代藩に伝承した系統の墳 (塚) 原卜伝流腰廻 (腰廻とは柔術のことであり、居合ではない) の絵目録によって、敵と接触した瞬時に食らわす当身の技法について、少し述べてみたい。

まずは、水月の当て。
これは、我の右手を敵が行き違いざまに右手で掴んだ瞬間、我は転身して左手で敵の右腕の逆を極め、すかさずその右背掌で敵の水月を当てる。

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という凄まじい一手である。
最初に水月の当を持ってくるのは、それが最重要であり、しかも極意であるからだ。

これを武田流合気之術 (大庭一翁が八光流から開創) では 「ほぞち打ち」 という。
筆者もそれを学生時代に学んだことがあり、打ち方に秘伝・口伝がある。






(つづく)
by japanbujutsu | 2018-11-07 17:40 | 技法研究の部屋 Skill
これをどうして武道とよべようか

写真を見てほしい。
あなたはどちらが勝者だと思いますか。

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これ、勝ったのは天理大の彼!!!
胴を抜いて一本勝ちだとか。

すごいですよね、首が飛んでも勝つのですから。
絶命しているのは完全に天理大の彼のはずだが・・・

試合前に蹲踞礼をするだけ柔道よりはましだと思うが、試合中の動作・姿・技はとても武道とは呼べない 「スポーツ」 である。

刃筋も正中線も滅茶苦茶である。

武道は何処へ消えてしまったのか・・・







(完)
by japanbujutsu | 2018-10-14 17:00 | 技法研究の部屋 Skill
ボタンの掛け違い

これまでいろいろな場面で剣術の理合の説明を見聞してきた。
その中で大きな間違いを犯している例を挙げよう。

写真は剣と剣を切り結んだ場面。

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武術では 「合」 という。

これは形において、相手との間合い、呼吸、目付、手の内、腰の据え方、足の踏み方、得物にかかる衝撃などを学ぶ上での方法論であり、互いの剣は互いに届かない。

だから実戦では最初から双方がこの状態になるように切り結ぶことはありえない。

どちらかが踏み込んで切れば、敵に剣の物打が届く間合いが実戦の間合いである。

すなわち、敵を切る理合を説明するのにこの切り結びを例に出すのは成り立たない想定であるであるから、研究すればするほど実戦の本意からは遠ざかるのである。

敵が我を切ってきたとき (当然我に敵の剣が届いている間合いで) 我が反撃をしようとするには入り身して飛び込むか、左右に捌いて切るか、退いて剣を躱す、あるいは受け止め、受け流すかの技術が必要になる。

だから互いに切り結ぶ (敵は我に攻撃を仕掛けていない) 状態では、敵の剣を外す必要はまったくないわけであり、そのような意味のない技を実践しても、何の利徳も得られない。

形における 「合」 の意味を理解していれば、このような無駄で意味のない稽古はしないはずである。





(完)
by japanbujutsu | 2018-10-12 17:44 | 技法研究の部屋 Skill
身体の柔軟性と姿勢

現代人はとにかく身体が硬い。
そして形が不得手な人もその多くは身体が硬い。
これでは綺麗な形が打てるわけがない。
身体の可動範囲が極めて小さいからである。
白鵬が強い一つの要因は身体の柔軟性にある。
身体が柔らかければ怪我も少ない。

昭和戦前の影山流の貴重な写真を見てもそれが如実にわかる。
天野古弘のこの写真は抜付台に向かって斬り上げる場面であるが、左足の裏を右足で踏みつけて立ち上がったところである。

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この後、一気に沈んで、台を下から斬り上げるのである。
現代人にはもはや相当困難な鍛錬法である。

さらに少年二人による組太刀では仕太刀の少年の両足が見事に180度開いており、これもまた現代人には困難な姿勢である。

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その他、武術で嫌われる身体は猫背と肥満。
とにかく少しずつでも改善していく必要がある。





(完)
by japanbujutsu | 2018-09-22 17:37 | 技法研究の部屋 Skill
日本の棒術と沖縄の棍

日本の棒術は本来、力信流に見られるように二対一把持であり、剣の操法と同一の理論で成り立っている。
すなわち、棒端を両手で把持して棒先を長く出して使う。

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そうしなければ、剣に対して有利な間合いが確保できない。
したがって、棒対棒で形を打つときにも、棒は長く大きく使う。
だから力信流の棒術はダイナミックで豪快である。

一方、沖縄の棍は三等把持である。
そのため棒先は短い。

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これは剣と同じ間合いになり、剣を相手にした場合には極めて不利である。
沖縄の棍には剣を相手にする想定がないので、三等把持になったものと考えられる。
(金鷹拳の七星齊尾棍は長く使う)

薙刀でも香取神道流や直元流は短く使うが、穴澤流は剣と同じ理合で長く使う。






(完)
by japanbujutsu | 2018-09-16 17:48 | 技法研究の部屋 Skill
薙刀VS鍵槍

現在、薙刀と槍合わせを伝える流儀はわずかにしか残っていない。

画像は 『天狗芸術論』 の挿絵である。
薙刀は真刃、鍵槍は稽古用たんぽ槍である。
この様子から想定できる稽古は、鍵槍が薙刀の攻めを防ぎ、突いて返すというもの。
本来は薙刀側に防具が必要だろう。
そうでなければ槍にたんぽは必要ない。

異様なのは帯刀したまま稽古をしていること。
床の上には抜き身の刀も置いてある。
享保十四年 (1729) の刊本なので、稽古着はまだ見られない。
まだまだ江戸期の武芸については研究の余地が多くある。

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(完)
by japanbujutsu | 2018-05-23 18:52 | 技法研究の部屋 Skill
誤った伝承

武術が長年にわたって代々継承されていくうちに変容・変質していくことは致し方ないことである。
それは伝承する者の体格であったり (師匠と弟子の体格が極端に異なると、そのままそっくりの体動は再現できない)、修行期間であったり、伝承能力であったりということに起因する。

しかし、そうした状況下にあっても武術の大原則というものは絶対に墨守していかなければならない。
その大原則が失われた例として、

○手裏剣を打つときに野球の右投げと同じように左足前で打つこと。
○長柄の道具を使う時に前足の爪先が前を向いていないこと。

などがあり、このような致命的な誤伝が各流各派で散見されるのが現状である。
大原則だけは絶対に崩してはならない。

槍術は宝蔵院流を伝え、柔術・手裏剣は制剛心照流を伝えた山口喜一氏の写真を見ると、槍の足も手裏剣の足も正しく使われていることが一目瞭然である。

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(完)
by japanbujutsu | 2018-05-10 17:52 | 技法研究の部屋 Skill
後ろ足の踵

正統古流の姿勢・技法で絶対にやってはいけないことの一つ。

その一つが居合の場合に斬りつけ時や納刀時において後足の踵が浮くこと。

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これは古流ではタブーである。

居合は剣道と兼修する者が多いので 「撞木足」 を苦手とする者が多い。

そもそも後足の爪先が前を向くこと自体、古流ではありえないのである。
地 (床) から力 (エネルギー) を得ることが不可能となるために、下丹田に力が入らない。
さらに足の重要な指使いができない。
その他、欠点だらけの足使いになってしまう。

それがスポーツならば何も言わないが、「武道」 を標榜するのであれば、それはとんだ見当違いであろう。

現代制定居合と古流居合を兼修するのは両者にとって大なる弊害である。






(完)
by japanbujutsu | 2018-05-10 17:20 | 技法研究の部屋 Skill
姿勢と正中線のこと

武芸の形を演じるとき、もっとも注意しなければならないのは、言うまでもなく姿勢である。
正中線を立て、体が傾かず、両眼は平視して、体を揺らさず、機敏に動く。

形の上手下手は歩く姿勢からもわかる。
姿勢の悪い人、とくに猫背(かつては「せむし」と呼ばれた)の人は、まず、日常胸を張ることを意識して身体を矯正しないといけない。

最近は感動するような演武をほとんど見ることができなくなってしまったが、筆者が素晴らしい演武だと思うのはかつて鳥飼よし女史が演じた香取神道流の薙刀である。
上記の条件を見事に体現している。





理想の形を演じ切っている。
これこそが古流の妙技と言えるのではなかろうか。
よくよく吟味あるべし。






(完)
by japanbujutsu | 2018-04-18 17:40 | 技法研究の部屋 Skill