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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

カテゴリ:関口流抜刀 Sekiguchi( 48 )

関口流抜刀のすべて

とある関口流のサイトに次のようなことが書かれている。

わが流儀が誤った内容で後世に流伝しては迷惑なので、ここに真実を記載する。

その誤った記述とは、

「基本技は九本だが四方に向って抜けるので三十六本になる」

というもの。

これはまったく以て関口流のことがわかっていない記述である。

そもそも、関口流抜刀の形は十一本で、九本ではない。

これを九本としたのは、愚か者の考えで、右抜打先之先と左抜打先之先の二ヶ条を、最初の抜打先之先と同じだからということで、数に含めなかったことによる。
だから九本としたのである。

実は右抜打先之先と左抜打先之先は一ヶ条目の抜打先之先と抜き付けた後の動作は同じであるが、抜き付けにまったく独自の口伝があることを彼らは知らないらしい。
だから、これを同類として、三つを一つにしてはダメなのである。

さらにそれぞれの形の抜く方向はしっかりと決められており、四方に抜くなどという想定はどこにもない。
古伝を勝手な解釈で変容させて、いたずらに形数を増やしているだけである。

そして、最後に、この十一本の技は決して〝基本技〟ではなく、流儀のすべてであり、極意でもあることをここに強調しておく。

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(完)
by japanbujutsu | 2019-03-24 07:23 | 関口流抜刀 Sekiguchi
真っ向斬り落とし

関口流抜刀の一本目 抜打先之先

この形は、古伝では最初に左首を袈裟に斬り、次に飛び違いて右首を袈裟に斬る。
それが渋川流 (肥後関口流は渋川流から出ている) ではその両動作ともに真っ向で行うように変容したことはすでに『水月』で詳説した。

一度、敵の頭なり小手なりを刀で押さえて敵の動作を封じ、裂帛の気合いとともに二の斬りで留めを刺す。

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この二の斬りは飛び違いの際の体変換力を使って床上三寸まで深く切り下げる。

この際、絶対に上に跳ねてはいけない。
頭が上下動するのは武術においてもっともあってはならぬこと。
上に跳ねた瞬間に腰に溜めた力がすべて分散してしまう。
これは柔術の稽古をしてみればだれにでもすぐにわかる常識である。
斬り落としは当然、空中では斬らず、着地と同時に全パワーを刀に乗せて斬り落とし、十分に止めてから上段の残心にとる。

そうしなければ敵の胴体など斬れるはずはない。

※口伝はすべて除いて説明しています。







(完)
by japanbujutsu | 2019-03-14 07:52 | 関口流抜刀 Sekiguchi
学び

私の古流武術の修行は大凡三十代半ばで終わった。

それ以上学んでも、それらの流儀をすべて次代に残すことが不可能であると悟ったからである。

しかし、当時すでに十流派以上の流儀を相伝しており、それらの流儀は一応はその段階での絶伝を免れることができたわけである。

以後の十数年はもっぱら自己の鍛錬と後継者の育成に努めてきた。
しかしながらその間、我と同じような三度の飯より武術が好きな人間は現れなかった。

多くの者は中途で辞めてしまい、平凡な人生に戻った。

松陰先生曰く、
「自分の価値観で人を責めてはいけない」 と。

ならばもうこの世にはわが流儀を受け継ぐ者など永遠に現れないのではないかと。

五十路に入った十年前、もう一度思い直して初心に戻り、関口流抜刀を一から学ぶため、駿河館に入門した。

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自分の価値観の中で武術と向き合う時間を作るために。

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学ぶ気持ちをいつまでも持ち続けなければならないと。

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そのためには自ら学びの場に身を置かなければいけないと。

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あれからすでに10年が経過した。

今もなお学びは続いている。

道は険しく遠い。

しかし、それは何よりも楽しい時間でもある。






(つづく)
by japanbujutsu | 2019-02-02 07:55 | 関口流抜刀 Sekiguchi
巡懸切留之事

熊本藩伝関口流抜刀では座居合十一本目は 「巡懸切留之事」 (まわりかかりきりどめのこと) という。

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これは古伝では 「車返」 と言う。

車返の意味は 『広辞苑』 によれば 「けわしい山道・聖域など、そこから先へは車が通れないために車を返す所」 とある。

また一方、「馬返」 には、神社・仏閣など聖なる場所には、馬をはじめとした獣類を入れないとする山岳信仰により、馬を返すという意味もある。

車返の形の想定は二人の敵に対して、右前の敵を突き、次に右の敵の切り込みを受け流して斬りつける、というものであるから、正しく自分の領域に敵を踏み込ませないという業前である。

「巡懸切留之事」 とはまったく無味乾燥な名称である。

※写真は萱間静林師範による 「巡懸切留之事」。





(完)
by japanbujutsu | 2018-12-09 17:24 | 関口流抜刀 Sekiguchi
小続松

小続松 (こついまつ) の続松とは松明 (たいまつ) のことで、抜いたらすぐに刀を体前に立てるためにその名がある。

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なかなか趣のある形であるが、難度が高く、足腰に強靱な筋力を必要とする。

熊本藩伝では 「立刃押切込之事」 という味気ない名称になっている。

なぜ、古伝の情緒溢れる優雅な名称を廃してしまったのか、非常に残念に思えてならない。







(完)
by japanbujutsu | 2018-12-03 23:29 | 関口流抜刀 Sekiguchi
関口流抜刀長歌(自作)

左剣とて 極意なりとも 手拍子の 勝身正しく 青柳は 水に移ろう 笹之露 流れて早き 雲井の 影ぞ移ろう 恋の剣 不意を打つこそ 乱星 払いて見れば 横雲か 力頼みは 小続松 動けば敵の 下藤 車返しの 勝太刀は 関口流儀の 居合なるべし

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(完)
by japanbujutsu | 2018-10-04 17:23 | 関口流抜刀 Sekiguchi
関口流抜刀術駿河道場での3ヶ月振りの定例稽古。

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習い覚えた全形を錬成。

稽古着はビッショリ!!






(完)
by japanbujutsu | 2018-09-18 17:47 | 関口流抜刀 Sekiguchi
五十而知天命

筆者は五十路を過ぎて思うところあり、関口流抜刀指南駿河館の萱間静林師範に入門した。
今年で9年目になる。
もちろん今でも稽古日には休むことなく通っている。
師範は御年八十一。

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今でも関口流独特の 「飛び違い」 をこなす。
もうすでに伝えられている技法はすべて相伝しているから、筆者がここに通う目的はただひたすら行ずる「稽古」 のため。
居合は一人稽古であるが、自分一人で、あるいは自分が指導する稽古場で稽古するのとは、まったく異なる環境が駿河館にはある。
技を検証していただけるのはこの稽古場でしかない。
最近はほとんど矯正されることがなくなってはいるが、毎回約三時間の稽古は、実に有意義で楽しい時間である。

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これが天命であるとしたら光栄この上ない。





(完)
by japanbujutsu | 2018-08-07 21:55 | 関口流抜刀 Sekiguchi
口伝

昨日は関口流抜刀術駿河館での稽古であった。
近頃、東京から新入門者が来ているが、昨日は休まれたので、久しぶりに師匠とマンツーマンだった。
逆袈裟切りを一時間ほど試技・錬成し、それまでなかなかうまく刃筋を通すことができなかった形において、かなり正確に切り上げる方法を体得できた。
一時間、切り続けたので腕は棒のようになったが、その甲斐あってよい成果を得た。
これは駿河館の 「口伝」 として後進に伝えていく。

下の写真は、関口流初本の 「抜打先之先」 における、柄上げ。
複数の口伝が凝縮されている。

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(完)
by japanbujutsu | 2018-04-30 19:05 | 関口流抜刀 Sekiguchi
関口流抜刀における抜き方

これから記述することは口伝の部分が多いので、簡略して書く。
関口流における抜刀の方法について。
これはあらゆる居合の流儀における最重要の部分である。
にもかかわらず、各派で抜き方が大きく異なっている。
では本来はどのように抜くのが正しいのか、少しだけ述べてみたい。

一、鞘払いの際、腰を十分に開くこと。
 これについては九州系や岐阜系の一部では左足を引かずに抜いている。下の青木の写真を見れば明白であるが、左足は十分に引かなければいけない。

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一、抜くとき柄は左胸に近づけ、刀は左耳に沿って真上に抜くこと。
 原野系以外の熊本および大分系ではなされていない。岐阜系でも一部ではなされていない。

一、 「抜打先之先」 における抜いた後の所作
 熊本の原野伝では片手切りで面、または小手を止める。現在、この片手切りを伝えている系統は皆無である。

一、小手を止めたときの姿勢
 片手切りでは完全一重身、岐阜系の一部では半身、その他は完全に正面体になっている。これは止めた際に両手持ちになるための変質である。下の関口流図画では半身を保っている。

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一、飛違
 これは絶対に飛び上がってはいけない。頭の高さを変えずに飛び違える。そのための特殊な鍛錬法がある。熊本系と岐阜系の一部が飛び上がっている。

以上であるが、人間が生身で演じる武術。
変質は相伝の中において必ず生ずるものであって、各派を非難するものではない。
ただ、一相伝者として正しい古伝の技術を問うのは必要なことである。

※詳しい考証はすでに 『 水月 』 (153号) でなしている。






(完)
 
by japanbujutsu | 2018-03-25 17:43 | 関口流抜刀 Sekiguchi