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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

『養生一言草』(四)


今回は居合である。

この図から学ぶことは多い。

まずは記されている解説から見ていく。

居合は敵と敵近附、互に太刀を抜合機発の処を云ふ。此術に熟すれば、其間一寸二寸といへとも大太刀を抜、或は四畳半のせまき座敷にて五尺余の太刀を抜とも、物に障ず其刀の出入和らかなると見物也。人の眼に見へさる程の業、戦場は勿論、行住座臥両刀取廻し、格別なるもの也。是も諸流多し。

五尺余りの太刀というのが、やはり居合では常用されていたことがわかる。


『養生一言草』(四)_b0287744_12145803.jpg


図を見ると、反りの深い太刀拵えの長尺刀を使っていることがわかる。

両足は爪先を外に向かせて腰を低く割り、刀を返して下から抜き上げる瞬間を描いている。

袴は股立ちを取り、襷を掛けている。

下の図は扇子切りである。

扇子は開いており、どのような設定で切っているのか不明である。

あるいは広げて立たせ、柄で押さえておいて抜き様に切っているのだろうか。

宙に投げて落ちるところを切っているか。

中々に趣のある図である。




(つづく)

# by japanbujutsu | 2025-04-14 06:14 | 武術論考の部屋 Study
『養生一言草』(三)


剣術。


『養生一言草』(三)_b0287744_17231514.jpg


まず、腰板のある稽古場が見もので、壁に槍か六尺棒と思しき道具が掛けてある。

壁は塗り壁だろうか、ひび割れを起こしている。

防具に目を転じると、面はほぼ現行の形態ができあがっていることがわかる。

面布団の色が藍色と白になっているのが面白い。

図では、現行剣道では失われた、一文字受けを見事に描いている。

足構えもしっかりと撞木に踏んでいる。

これは受けている方が「一本」と見るべきである。

また、袴の裾をたくし上げており、膝から下はむき出しである。

胴も竹胴で趣がある。




(つづく)

# by japanbujutsu | 2025-04-12 06:22 | 武術論考の部屋 Study
『養生一言草』(二)

弓術。


『養生一言草』(二)_b0287744_12045366.jpg


解説には次のように書いてある。(句読点筆者)


手習学問諸礼等習ひて後、士は弓馬の道を嗜むを殊に専一也。弓は先初発に巻藁を射さしむ。此巻藁修錬すれば成長の後、的を射、騎射鳥獣等を射さしむるも其力万事に渡り未ヽの為になるよし也。夫弓は心気を平かにし、胸膈を開き、臍下にみち、呼吸能定る故に、此道に達すれば他の武芸の助と成を云べからず。寔に士芸第一の養生也。

今は弓もスポーツ化し、立射のみとなり、武術的要素が希薄になった。




(完)

# by japanbujutsu | 2025-04-10 07:03 | 武術論考の部屋 Study
『養生一言草』(一)


今回から数回にわたって『養生一言草』に掲載されている武芸の挿絵を紹介する。

本書はかなり昔から探していたのであるが、今般ようやく入手することができた。

『養生一言草』(八隅景山著、葛飾北秀画(北斎の弟子)、天保二年(1831)発行)は、人の一生を養生の立場から論じる中で、子どもの遊戯を養生と言う。

幼稚の遊戯はすべて天地の道、遊びをなすは「養生のはじめなり」。

また、各種武芸の身体的効果も強調し、相撲や舞踊も奨励する。

江戸後期の養生論は、延命や長寿より健全を目標とし、日々の暮らしの中の身心の調和に価値を置いた。

本書は特に、人間の発達に応じた教養や養生の関係についても述べているが、「生活の病」にかからないための方法を説いている点で注目される。

初回の今回は、武芸の中では今日もっとも人気のない騎射・水練・水馬から紹介する。

『養生一言草』(一)_b0287744_23565273.jpg
『養生一言草』(一)_b0287744_23565935.jpg
『養生一言草』(一)_b0287744_23570896.jpg

騎射図を見ると、二刀差しのまま乗り、その二刀も太刀佩き(刃が下向き)になっていないことがわかる。

普通、馬上で帯刀する場合、鐺が馬にぶつかって邪魔になるので、太刀佩きで乗るのが通常であると巷では思われている。

しかし、この図ではそのような処置はなされていない。

また、馬術でも特に「水馬」を独立させて延べているところが面白い。




(つづく)


# by japanbujutsu | 2025-04-09 00:07 | 武術論考の部屋 Study
各流派の礼法


演武会では各流派の礼法も見所の一つである。


各流派の礼法_b0287744_12021310.jpg


正座礼、蹲踞礼、折敷礼など、多種多様である。


各流派の礼法_b0287744_12023272.jpg


それぞれの流派にはそれぞれの教えがあり、それらを伺い知るのもまた学習のひとつである。


各流派の礼法_b0287744_12025588.jpg


格闘技において「座る」という所作があるのは日本武道だけである。


各流派の礼法_b0287744_12031818.jpg


この「座る」りという所作・行為の正しい意味を理解せずして古流の修業はあり得ない。




(完)

# by japanbujutsu | 2025-04-01 12:03 | 技法研究の部屋 Skill

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