片手胸取
柔術の想定として流派を問わず、必ず見られる攻撃法に片手胸取がある。
仙台藩の柳生心眼流兵術や浅山一伝流柔術では最初手に見られる普遍的な攻撃方法である。
これも日本独特の想定と思われるが、西洋にも喧嘩で胸を掴む方法があったのだろうか。
古流ではその胸を取るにも一定の所作があり、それが武術が「武士教育」として存在しえた一つの理由でもある。
日本武術を理解するには、江戸時代の生活様式を理解しなければならない。
そのために江戸時代に刊行された様々な文献を渉猟している。
今回、紹介するのは十返舎一九の『続膝栗毛 七編 下』。
この中の挿絵に片手胸取が描かれている。
道中で喧嘩になったのであろう。
さて、どのような手で返すのだろうか。
その続きを見てみたい気がする。
右手に杖を持っているので、九鬼神流半棒術でやっつけられる。
そんな光景を連想すると物語りも楽しく読める。
(完)