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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

武州住正方


しばらくの間、我がコレクションの透かし鍔にお付き合いください。

武術を嗜む人は刀装小道具にも関心を持ちたいものです。

武士の粋な世界を垣間見ることができます。

本日は、武州住正方を紹介。


武州住正方_b0287744_14361601.jpg


この鍔の銘にある武州住正方は伊藤氏の出身。

はじめ源次郎と名乗り、のちに甚右衛門と称す。

正恒の跡を継ぎ、伊藤家の二代目となる。

江戸時代中期の江戸神田新白銀町の人。

「武州住正方」、「武州住伊藤正方」、「江戸神田住伊藤甚右衛門正方」と銘を彫る。

蘭花や笹竹など草木類を肉彫にした鍔が多く、巧手と評されている。

紹介するのは初夢の縁起物「一富士・二鷹・三茄子」を丁寧に彫り込んでいる。

耳は角耳小肉で鉄骨も見え、尾張鍔に近いが、左右非対称で独自の作風を持つ。

神田と赤坂は距離的にも近く、赤坂鍔の細線透かし技法も採り入れている。

裾野に透かした湖は浮島沼だろうか、あるいは大瀬崎の神池だろうか。

小振りだが、観賞に堪える一枚である。



(つづく)

# by japanbujutsu | 2025-03-06 14:36 | 武具の部屋 Arms
赤坂鍔


京で鍔の商いをしていた雁金屋彦兵衛が、初代・二代の忠正、三代正虎を連れて江戸へ移住し、鍔の製作販売を始めたのが赤坂鍔の始まりと言われており、以後、九代に渡り繁栄した。

彦兵衛は出来の拙いものは捨て、良作のみ流通させたので、赤坂鍔の名声は上がり、江戸土産としてももてはやされた。

初代忠正の作はすべて無銘の透かし鍔であり、在銘は偽物。

赤坂鍔の特徴は、鉄の鍛えがよく、味わいある錆色をなしており、丸形で丸耳の透かし鍔であること。

実戦鍔としてはまったく使い物にならないが、平和な時代の粋な武士にその繊細な意匠が好まれたのであろう。

しかし、赤坂鍔は鑑定が極めて難しい。

似たような透かしの鍔は、肥後・尾張(金山)・京などにも見られ、時には専門家の間でも意見が割れることがある。

今回入手した赤坂鍔は、抱き茗荷に松皮菱をあしらった意匠で、赤坂鍔の特徴をよく表している。


赤坂鍔_b0287744_21344562.jpg




(完)

# by japanbujutsu | 2025-03-01 21:36 | 武具の部屋 Arms
流派の商標登録 無知の成れの果て


本内容は特定の流派に対して述べるわけではない。

古武道(古流武術)の流派というものが、どのようなものかを理解していない者たちが、無知をさらけ出して流派の独占を試み、挙げ句の果てには世間に無様な姿をさらけ出している有様を見聞するにつけ、日本武道界の暗澹たる未来を危惧するものである。

そもそも、まず最初に武術の流儀は個人の所産ではないということを肝に銘じなければならない。

流儀は先代からの預かり物であり、それを次代に受け渡すことが師範の使命である。

個人の所産ではないので、独占する権利などあるはずもない。

先代から免許なり、皆伝なりを授かり、師範となって後進の指導をする。

当然、師範は複数人いて、だれもが同じ権利を持っている。

そこには何の差違もない、否あってはならない。

もちろん、特定の一人が「宗家」を名乗るなど、言語道断である。

古武道に宗家はないと40年前から力説しているにもかかわらず、依然として「宗家」はなくならない。

そもそも、宗家を認めている無知で指導力のない団体の体質がいけない。

流儀名の商標登録を受け付ける特許庁もまた無知の極みであり、争いを助長する元をつくり出している。

先祖からの預かり物を独占しようと商標登録する愚かな人たち。


流派の商標登録 無知の成れの果て_b0287744_15303792.jpg


見るに堪えない、聞くに堪えない。

もっと健全に伝承することが何故できないのだろうか。

商標登録などという争いの火種は一日でも早く抹消されたい。

それが潔い武士というものではなかろうか。

「商標登録」だの「宗家」だの、争いの火種を抱え込んで、お山の天辺で胡坐を搔くのが果たして武士のやることだろうか。

同じ流儀を継承する者、共に流儀をもり立てていくのが伝承者の務めであろう。




(完)

# by japanbujutsu | 2025-02-25 15:37 | 武術論考の部屋 Study
空手と居合


本日、東京から尚林流空手道を修行する有志の皆様が、居合の稽古に来富されました。


空手と居合_b0287744_16192195.jpg


昼休みを挟んで4時間たっぷりと稽古していきました。


空手と居合_b0287744_16194525.jpg


現代武道はスポーツ化しているため、一人が複数の武道を修行することはまずあり得ない。

ところが古流となれば、総合武術も多く、いろいろな武術を修行する。

現代武道でも、もしそれを本来の武道として修行するならば、徒手をやる者は武器を、武器をやる者は徒手を、それぞれ主従を明確にしながら学ぶ必要があろう。

特に、武道をする人は、武種に関係なく、刀を扱う武道、居合や剣術を学ぶ必要がある。

刀は武士の魂であり、武術の根幹をなすからである。

刀を知らずして「武道家」にはなれない。




(完)

# by japanbujutsu | 2025-02-11 16:21 | 武術論考の部屋 Study
『詳説 関口流極意』先行予約開始


『詳説 関口流極意 熊本藩関口流抜刀全解説』が今月中旬に発行されます。


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それに先立ちまして、特別価格での先行予約を開始します。

内容は歴史・技法・伝書の総合解説となります。

歴史は全国諸藩を悉皆的に調査、技法は熊本藩関口流抜刀全形から古伝形の復元、名人亀谷鎮の復元形、書籍影印まで網羅、伝書は数十巻を翻刻。

限定の少部数発行となります。

お早めにご予約ください(予約の〆切は2月10日(月)となります)。
それ以降は通常販売価格(12,800)となります。

〇B5版 340ページ
〇先行予約価格 9800円(送料無料)
先行予約は締め切りました。
〇郵便振替用紙を同封しますので、到着後3日以内に送金してください。

申し込みは、以下の専用メールアドレスまで。
郵便番号・住所・氏名・電話番号を明記して申し込みください。

suigetsujuku@bh.wakwak.com


以下、画像は製本前の見本です。



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(完)

# by japanbujutsu | 2025-02-01 18:13 | 出版・広報 Public info.

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